早いもので今年も11月を迎えた。少し気が早いが、今年1年間の政治を振り返ってみると「モリカケ問題」に終始していた印象がある。新内閣が発足してもいまだにくすぶり続けていて、さすがにうんざりとしてくる。国民の生活に直接は関係がないことなのにこれだけ問題がこじれたのは、首相、政府、当該業者が毅然とした態度で説明責任を果たしていなかったからではないだろうか。問題発覚直後から真しに説明をしていれば、ここまで尾を引くことはなかっただろう。
「説明責任」は地方の政治でも、民間企業でも重要なことだ。民間企業に義務はないが、その会社の信頼性を維持・増大させるためには必要不可欠な措置であるし、公共事業を請け負っていたり、トップが公の業務に携わっていればなおさらだ。行政に関しては言うまでもない。地方都市は規模が小さいほど噂話が一気に広がる。全てを隠し通すことはできないし、間違った話でも尾ひれが付いて広まっていく。そうなったら行政も民間企業も、市民からの信頼が失墜してしまう。
説明責任を果たさない理由としてよく使われる言葉に「警察の捜査中」「公判中」などがある。もちろん捜査や裁判に重要な影響がある事実は公にできないケースもあるが、それはごく一部のことではないだろうか。説明をしたくがないために「捜査」「裁判」の単語を出したり、「弁護士の指示」を強調したりしているようにも見えてしまう。また、自らの考えを主張することは、捜査や裁判以上に重要な「人権」であり、捜査機関がそれを阻止することはできないはずだ。
行政も民間企業も、市民と強い信頼関係で結びつき、一体となって取り組んでいかなければ、いまの地方の危機を克服することはできない。公の立場にある人、公の仕事をする業者などは、市民が少しでも不安、不審に思っていることがあるのなら、自ら進んで説明責任を果たしていくことが、困難克服の第一歩となるはずだ。