壱岐市長選挙が終了し、18日からは正式に3期目の白川市政がスタートした。白川市長が当選後の記者会見でも真っ先に語っていた今後の最大の課題は人口減少対策だ。
そのアプローチ方法は婚活、子育て支援、雇用確保など様々あるが、Iターンでこの島に来た筆者は、やはりUIターン者対策が気になる。「老後を地方で過ごしたい」と考えている人は、内閣府の調査で20%近くに達し、民間のアンケート調査では4割近い数字も出ている。Iターン需要は十分にある。
地方移住の目的としてもっとも多いのが「都会よりも住居費・生活費がカットできる」という現実的なものだ。東京は便利だが、家賃が月7~8万円では、年金生活では難しい。それが2~3万円なら、たとえ仕事がパート程度しかなくても、年金と合わせれば何とか老後を暮らしていけるのではないかという考え方である。多少の蓄えがあり、3~4百万円で中古家屋を購入すれば、もっと生活は楽になる。
健康な高齢者が地方へ移住する「CCRC構想」には本市も取り組むことを明言しているが、そこまで大上段に構えるのではなく、まずはIターン希望者が気軽に相談できるシステムを作ることが第一歩になる。市は4月から移住者受け入れのための「ワンストップ窓口」を設置したが、実際にはまだまったく機能していない。
「UIターンポータルサイト・いきしまぐらし」の空き家・空き地バンクには、空き家38軒、空き地17か所が掲載されているが、契約に至ったのは現在、空き家3軒のみ。単に持ち主を紹介するだけで「後は勝手に交渉してください」では、宅建業の資格がない者同士の取引になり、契約や重要事項の説明、トラブルなどに十分対処できない。内覧の日程調整すら難しい。
市は不動産業者と提携して、仲介手数料、敷金やリフォームを補助するなどの措置で移住希望者に便宜を図るべきである。
できることからまず始める。それが人口減少対策のスタートになる。