社説

情報化時代の危機管理能力。

「危機管理能力」が問われる時代になっている。情報通信が急激に発展し、これまでは秘匿できていた企業や行政の情報を、報道機関はもちろん、一般市民でも入手できるようになってきた。SNSを通して誰もが情報発信者になり、スマホの普及で写真撮影、動画撮影、音声録音も瞬時に行えるようになった。すべての行動が監視され、記録され、ネット上に広がる可能性も十分にある。従来の危機管理では対応しきれなくなっている。

ネット上などでは、激しい非難や、特定の人をおとしめることを、まるで生きがいにしているのではないかと思われるような記事、書き込みも見られる。根拠のないうわさ話の類であっても、それが拡大していくと信じる人も出てくる。便利であることも、嫌なこともあるが、否応なくその情報化時代の到来は、もはや避けられないものになっている。「何とかごまかそう」とうそを言ったり、対応を遅らせることが最悪の結果を招いている。政治の世界ではいまだにくすぶる「もり・かけ問題」がその典型だし、芸能界ではベッキー問題が世間を騒がせた。日大アメフト部、至学館大学レスリング部などスポーツの世界でも、当初の対応の誤りが大きなイメージ失墜を招いている例は多い。

「警察の捜査中なので」「裁判を控えており」などの理由で、記者会見で詳細を述べないことがあるが、原告と被告の事実関係の認定が大きく異なっているケースや、関係者しか知らない情報を公言することは捜査、公判の妨げになることがあるが、そのようなケースばかりではない。説明を控えることは、どうしても「逃げている」印象に映ってしまうものだ。

公人や行政は、市民に少しでも疑問点を感じさせる事柄があったら、包み隠さずすべてを判りやすく説明し、都合の悪いことこそ敢えて明らかにし、本音をさらけ出すことの方がダメージが少ない、優れた危機管理なのではないだろうか。

関連記事

  1. 壱岐の海を「センター」に。
  2. 理解を求めるなら平易な言葉で
  3. 社説・炎上させるほど大胆な宣伝を
  4. 社説・先端技術を人口減少対策に
  5. 改めて感じるスポーツの力
  6. 九電に三島架橋の要望を。
  7. 誰もが楽しめる海水浴場に
  8. やはり壱岐から五輪選手を。

おすすめ記事

  1. 南方系サンゴが進出 国立環境研究所などの調査で確認 海水温上昇 裏付け
  2. 市がSDGs認定制度創設 初研修会に10人受講
  3. ゴミ71袋分回収  霞翠小ごみゲッツ

歴史・自然

PAGE TOP