社説

唐津市との連携強化を。

唐津市のJR唐津駅近くに、今年7月までに複合商業施設がオープンする。「唐津新天町パティオ街区再開発プロジェクト」と題されたまちづくり計画で建設されるのは、映画上映ホール、飲食店、ブックカフェ、オフィス、ゲストハウスが入る鉄筋3階建て。まちづくり会社「いきいき唐津」が事業主体となる。事業費は約6億5千万円で、このうち2億5千万円は経産省のまちづくり関連の補助金を充てる。施設の名称は市民らから募集し、商業施設は「KARAE/唐重」、映画館は「演屋」「シアターENYA」「シネマENYA」などの採用案をアレンジして決定する。

唐津中央商店街はこの15年で通行量が4分の1となり、消費額も年々減少。新天町パティオ街区も空き店舗が目立ってきて「このままでは商店街がなくなってしまうかもしれない」という危機感から、地元企業が第3セクターとして平成27年にいきいき唐津を設立。持続可能な都市経営を行うための拠点施設の建設に取り組んだ。特に市民から要望が大きかったのが映画館。唐津市では20年前に唯一の映画館が閉館し、地元の映画ファンによる団体が定期的な上映はしていたものの、ロードショー上映がなくなっていた。座席数70席前後と小規模ではあっても、ロードショー上映も可能な映画館は市民が待望していたものだった。

同様に映画館やブックカフェがない壱岐市から見ると、壱岐にもこのような施設を、と羨ましく思ってしまうが、唐津市は壱岐市からもっとも近い隣接自治体である。これまでまったくと言っていいほど連携がなかったが、今後はまず文化面から交流を始めてもいいのではないだろうか。いきいき唐津に対して資金面などで協力することによって、唐津港からのバス運行など壱岐市民も相互利用しやすい施設にしてもらうなどの方法も考えられる。交流が盛んになれば、80床のゲストハウス宿泊客が壱岐観光に訪れる機会も増えるのではないだろうか。

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