社説

ホタル観光に本格的な着手を

現在策定が進んでいる第4次壱岐市総合計画の審議会の中で「外から見た壱岐の魅力を発掘していくことも重要だ」との意見が多く出されている。島内に居たら見えないことが、外からだと見えてくるケースは多い。篠原一生市長も市東京事務所勤務や民間会社への出向していた期間が長く、その「外からの目」を今後の市政運営に取り込んでいく考えを示している。
市民にとっては身近なことでそれほど興味がないのかもしれないが、いまピークを迎えているホタルの乱舞は、島外の人から見たら堪らなく魅力的な光景だ。ホタルを鑑賞できる場所は全国にあるが、本市のような大規模なホタルの乱舞を見られるのは、人里離れた山の中などなかなか訪れることが難しい場所が大半。近くまで車で行けるような場所で鑑賞できるのは極めて稀有なことなのだ。
人口減少に歯止めをかけるのが難しい状況だけに、それを補うのは観光客を含む交流人口拡大策となる。本市のハイシーズンの観光客は、宿泊施設やレンタカーがほぼ満杯になる状況だが、オフシーズンの観光が課題となっている。ホタルが鑑賞できるのは5月初旬から6月初旬までの1か月間程度だが、ゴールデンウィーク後は観光客も減少する時期だけに、ハイシーズンまでの繋ぎとして「ホタル観光」は大きな武器になるはずだ。
壱岐高校が発行している「ホタルマップ」では18か所の観賞場所が紹介されているが、出現数が多い国道沿いの清水橋周辺に多くの人が集まっている。これ以上の人が集まると交通事故の危険もあるし、車のライトや懐中電灯などで光が多くなるとホタルの生息にも影響が出るかもしれない。ホタルの餌であるカワニナを放流するなどして、他の観賞場所のホタルを増やしていくことや、観賞場所の草刈り、駐車場を整備することも必要になるだろう。市の予算化や地元のまちづくり協議会の協力なども必要になるだろうが、ホタル観光にはそれだけの魅力と価値があるのではないだろうか。

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