市は9日、市議会3月会議本会議に議案「壱岐市庁舎建設に関する住民投票条例の制定について」を上程し、採決は賛成14人、反対1人で可決した。採決を受けて市は即日、条例を公布し、市選挙管理委員会は「市庁舎建設に関する住民投票」の告示予定日を4月19日、投票予定日を4月26日とする日程を発表した。4月20日から25日まで市内4か所で期日前投票、26日に市内30か所の投票所で投票が実施され、即日開票する。
市の上程した住民投票条例案は、庁舎建設に関する住民の意思を確認することに特化したもので、投票日の翌日から90日を経過した日に失効する。選択肢は①庁舎建設に賛成、②庁舎建設に反対、の二者択一で、投票資格者は市の電算システムが使用可能な「投票日において年齢満20歳以上の日本国籍を有する者」とした。
投票運動は投票日前日まで基本的には自由で、「市長は、必要な庁舎建設に関する情報を公平かつ公正に提供するように努めるものとする」と定めた。市は投票を促すためにケーブルテレビの活用やチラシの配布を行う。
結果については「市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重する」とだけ記されて、投票成立要件、開票実施要件に関してなど尊重義務の条項は盛り込まれなかった。
市長は2月27日の市議会庁舎建設特別委員会で「投票率60%以上なら、結果に無条件に従う」と発言したが、投票率に関わらず投票は成立し、開票が実施される。
質疑で、田原輝男議員がこの「60%発言」について「60%未満であっても賛否の過半数に従うのか」と確認したが、白川市長は「住民投票の結果には法的拘束力がないが、条例案の中に“結果を尊重する”と記載しており、投票率に関わらず尊重する。敢えて6割という数字を出したのは、無条件で従うという拘束力を持たせるためのものであり、自分を縛ったつもりだ。ぜひ過半数の人たちに投票へ行ってもらいたい」と答えた。
「尊重する」と「無条件に従う」の違いについて明確な説明はされなかったが、条例案に尊重義務条項が盛り込まれず、白川市長が改めて「投票率の如何に関わらず、その結果を尊重する」と明言したことで、住民投票の結果が市庁舎建設の方向性を決定づける可能性が高まった。「壱岐市百年の大計」は民意に委ねられる。