本年度の議会報告会が13日壱岐の島ホール、14日勝本・かざはやで開かれた。今回からより深い討論をするために常任委員会の主催となり、13日は総務文教厚生常任委員会(赤木貴尚委員長)が「老人福祉・子育て支援について」、14日は産業建設常任委員会(呼子好委員長)が「農業全般について」のテーマを設けて参加者と質疑応答。また事前質問制度も導入したが、初の試みに参加者からは戸惑い、不満の声が相次いだ。また参加した市民も13日が17人、14日は10人だけと少なく、議会報告会改革は前途多難な様相を呈した。
初日開会直後から議会報告会の回覧文書に市民からの不満の声が上がった。「今回のテーマに対し質疑のあられる方は、事前に受付を行う」という一文について、赤木委員長は冒頭挨拶で「事前質問しか受け付けないと誤解を招く書き方だったが、当日の質問も受け付ける」と謝罪した。だが参加した市民からは「議員とざっくばらんに話し合いをしたいのに、事前質問だけというのはおかしい」などと不満が爆発した。
議会報告会質問の事前通告制導入は、昨年開かれた議会活性化委員会(当時、今西菊乃委員長)で「議会報告会で当日、いきなり質問があっても、市民が納得できる十分な回答をすることが難しい。事前に通告されていれば、細かな数字まで回答できる」として導入が決められた制度だったが、その意図が市民には伝わっていなかった。
初日は今回のテーマに関しての事前質問があったが、その回答の大半は子育て支援の現状と制度説明という市の担当部局が説明するような内容となり、赤木委員長だけが回答した。参加者からは「事前質問してもこのような回答なら、市の出前講座と同じようなもの」「議員にもいろいろな考えがあるはずで、1人だけが回答するのでは委員会の全議員が出席している意味がない。議員それぞれで違う考えもあるはずだ」との厳しい指摘があった。
2日目は事前質問がなく、10人の参加者のうち質問したのは2人だけ。「勝本で開催しているのだからマグロ資源の問題など、漁業についても質問を受け付けるのが当然ではないか」「(テーマの)農業以外に関しては、いつ報告会を行うのか」などの質問があったが、今年度中に別のテーマで開催することは、小金丸益明議長が14日は出張で不在だったこともあり、議会側から明確な回答はなかった。
質問者は2日間で延べ8人。毎年、議会報告会で質問している参加者がその大半を占めた。事前通告がなかった質問への回答は「後日、本人に伝える」というケースも多かった。報告会終了後は議員からも「議員は全員、いつでも市民からの質問や要望を受け付けている。議会報告会は議員の活動を多くの市民に知ってもらうことが目的で、このような形で開催することに意味があるのか」という疑問の声も上がった。
初の委員会主催、テーマ別討論、質問の事前通告制導入と新たな試みに着手した市議会だったが、市民との意思疎通に苦慮するちぐはぐな姿ばかりが目立つ報告会となった。