壱岐市政策顧問の松田智生さん(三菱総合研究所プラチナ社会センター主席研究員)が提唱する「逆参勤交代」(大都市圏社員の地方での期間限定リモートワーク)を実施するに当たって、課題などを探す「壱岐トライアル逆参勤交代」が9月27~29日に行われ、東京から会社員、弁護士、公認会計士ら参加者10人と、主催の松田さんと事務局関係者ら9人の計19人が市内視察、課題解決プランの提案などを行った。
参加した10人は松田さんが講師を務める丸の内プラチナ大学の逆参勤交代コース受講生で、地域フィールドワークとして設定された北海道上士幌町、埼玉県秩父市、本市の3コースの中から本市を選び、全員が初めて壱岐に来島。小島神社、一支国博物館、辰の島などを視察、地域活性化に取り組んでいる市民、地域おこし協力隊員、こころ医療福祉専門学校壱岐校生徒らと意見交換をした。
白川博一市長ら市に対して行った課題解決の提案で、パナソニック関連会社勤務でシステムエンジニアの脇屋いずみさんは「育児休暇中の夫婦をターゲットに、育休男子支援プログラムを提案する。家族向けショートステイ施設を準備し、ワーケーションをしながらイルカ飼育などを通して、男子による子育てを勉強してもらう。育児男子支援は社会全体で不十分なので、ポテンシャルはある」と強調。壱岐の課題としては「首都圏在住者は私のように運転免許を持たない人が多いので、循環バスなど島内交通手段の充実を望みたい」と話した。
最年長66歳の参加者で都内企業で常勤取締役をしている西村康裕さんは「老後を面白く、楽しく生きたい中高年は多いし、この年齢層はある程度は裕福だ。マレーシアでは日本人が5千人も年1~2週間ステイして楽しんでいる。壱岐には一支国博物館、辰の島、温泉、ゴルフ場など中高年を満足させる施設・環境が整っており、日本のマレーシアになり得る。キッチン付きのコンドミニアムのような宿泊施設があるといい」と提案した。
デンソー東京支社の光行恵司さんは「千社あるという壱岐の神社をデジタルマップ化し、QRコードで御朱印を受け取れるようにする。スタンプラリー形式で集めた御朱印の数で賞品を出せば、滞在日数も増加する。デジタル化はデンソーのシステムを提供できる」と話し、白川市長とも今後の具体策を話し合っていた。
主催した松田さんは「いろいろなバックグラウンドを持つ専門家が集まってくれた。来年は受講者を講師にして壱岐の高校生を相手に丸の内プラチナ大学壱岐校を開講したい。壱岐はSDGsモデル事業に選ばれている離島として、離島版国際会議を開催するなど世界にアピールしていくことが必要だ」と主張した。
白川市長は「皆さんの提案はどれもヒントになるもので、改めて壱岐のポテンシャルの高さに自信を持つことができた。提案を実現させていきたいし、プラチナ大学壱岐校や離島版国際会議もしびれる提案だった」と逆参勤交代がもたらすさまざまな効果に期待を膨らませた。