本市観光の窓口である郷ノ浦港フェリーターミナルの隣接地に13日、壱岐観光サービス拠点施設「郷ノ浦港観光案内所」と「壱岐ちゃりサービスステーション」が開設され、開所式が行われた。これまで郷ノ浦港着のフェリー、ジェットフォイルで本市を訪れた観光客は、フェリーターミナル内の観光案内所を利用していたが、窓口前はほぼ1人分のスペースしかなく混雑し、壱岐ちゃり(電動アシスト自転車)のレンタルにも不便が生じていた。新施設は木造2階建て191・98平方㍍と広く、前面がガラス張りの設計で明るさが特徴。壱岐のイメージアップに貢献しそうだ。
施設は平成28年度国の補正予算による地方創生拠点整備交付金を活用して建設された。フェリーターミナルから雨に濡れずに移動できる約46㍍の屋根付き通路も含めて、建設費は約6900万円。1階には観光案内所、しまとく通貨販売・手荷物預かり業務窓口、壱岐ちゃり37台(大人用30台、子ども用5台、ファミリー用2台)のレンタル受付と駐輪倉庫を設置。市観光連盟職員を常に1~2人配置し、年中無休で午前9時から午後5時45分まで開所する。2階はオープンスペースと預かった手荷物の保管場所として活用し、オープンスペースは出港までの待ち時間を過ごしたり、団体客への観光情報提供、簡単な会議なども行うことができる。
テープカットを行った白川博一市長は「有人国境離島法を活用して観光振興を図るためには、来島客の“もう1泊”が必要になる。長期滞在客やリピーターを増やすためには、まずはおもてなしサービスが重要だ。壱岐に来て、明るい空間のゆったりとした観光案内所に気軽に立ち寄ってもらうことで、印象が良くなる。今後は壱岐ちゃりによる新たな周遊プランの提供など、きめ細かな観光サービスで滞在型観光を充実させていきたい」と話した。
市観光商工課の岡部一也課長補佐は「これまで壱岐ちゃりの貸し出しは狭いスペースで行っていたため、特にターミナル混雑時には不便だった。新施設は壱岐ちゃり専用の出入口も確保されるので、スムーズにレンタルが行える。これまでの17台は博物館などに置き、37台を新規導入。台数も増えたので、本市にとって課題だった観光客の2次交通機関の問題解消にも役立つはずだ」と期待を寄せている。また雨除け通路が設置されたことで、これまで雨天時にはターミナル出入口付近に集中して混雑に拍車を掛けていた送迎車が、多少は分散される効果も期待できる。旧案内所は5月から待合所として活用する。
市議会定例会3月会議一般質問で登壇した2議員から要望された同港の駐車場新設は、元居トンネル近くに臨時駐車場を設置することで当面は見送られることになりそうだが、先ごろ発表された市地域公共交通網形成計画ではフェリーターミナル、空港からの観光客の2次交通網整備にも言及されている。大型客船岸壁付近なども含め、郷ノ浦港の再開発計画が進めば、同港は壱岐島の玄関口として、新たな「顔」を持つことになる。