社説

人口減少問題が深刻さ増す。

有人国境離島法の施行から1年が経過し、様々な離島振興策がスタートしている。だがすべての事業が順調に始動したわけではない。何か新しいことを始めようとすると、周囲から不安・反対の声が挙がり、計画通りに進められないケースも見られる。これまで穏やかな生活を送ってきた人たちにとって、近くに新たな環境ができることが不安なのは理解できることだが、本市の人口減少問題はもう決して穏やかな状況ではないことにも目を向けなければならない。

10日に市が発表した3月末現在の市住民基本台帳月報によると、本市の人口は2万6857人で、2月末の2万7115人から258人減少して、遂に2万7千人を下回った。昨年3月末は2万7266人だったので、1年間で409人減少。減少幅は平成27~28年の500人、28~29年の420人と比べると少なくなっているが、減少率は前年と差がない。住民基本台帳の人口は住民票で集計するため、島外に出た学生などで住民票を本市に残したままの人もカウントされる。そのため国勢調査よりも千人程度多くなっており、実質的な人口はすでに2万6千人を割り込んでいる可能性が高い。国立社会保障・人口問題研究所が推計した2045年の本市人口は1万4622人。このペースで進むと15年後には人口2万人を割り込む恐れがある。

2万人以下になった時、島外資本の大型商業施設などが揃って撤退することも十分に考えられる。採算が取れないようになれば即撤退するのが大手事業者の特徴でもある。撤退となれば、すでに島内小売店は廃業したところも多く、ネット通販があるとはいえ食料品、日用品の調達には不自由が多くなり、若者からはさらに敬遠され、ネットを使わない高齢者は生活が難しくなる。最悪の展開ばかりが予想される。そうならないためにも、新しいものをもっと積極的に受け入れていく気持ちを持つことも、いまの本市には必要ではないだろうか。

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