5月29日、壱岐市で全国離島振興協議会(白川博一会長)の通常総会が開かれた。JRなど本土の交通機関並みに海の航路運賃を引き下げることなどを求めた決議を、全会一致で採択。合わせて国の領域保全などに重要な役割を離島が担っているとして、燃油価格の引き下げなど、離島活性化策を国に求めるとした。
本土でも高齢化や少子化対策が問題になっているが、離島である壱岐島は抱える問題に深刻さを増している。なぜなら専門学校や大学がないうえ、雇用の減少が著しいため、若者の80%以上が高校を卒業後、島外に流出しており、65歳以上の高齢者に至っては人口の30%を超えている。壱岐市は島内からの通勤を補助する「島外通勤通学者交通費助成制度」や漁業後継者不足解消を助ける「漁業後継者対策制度」などの施策を講じているが、抜本的な解決策となっていない。
同会通常総会を壱岐で開催したことも、白川市長が本土地域との対等な競争をするために常日頃から訴えている「離島航路運賃の低廉化」を国に求めていくことも、壱岐にとっては大変意義のあることだと思う。しかしIターン者からの目線でいうと、「仮にJR並みの航路運賃になったとしても、壱岐に魅力がなければ行くことはない」ということだ。
昨年4月、壱岐新聞創刊時にインタビューした九州郵船の竹永健二郎社長の言葉を思い出す。「九州郵船の運賃が高いから観光客が来ないとよく言われるが、壱岐や対馬に魅力があれば、運賃が高くても観光客は来る」という持論だ。壱岐に定住して1年4か月。その意味がよくわかるようになった。
竹永社長は「行政や観光協会(現・観光連盟)とともに離島活性化を一緒に盛り上げたい」と話していたが、離島振興に島民が真剣に取り組まなければ、行政や観光連盟の施策も、大きな成果を得ることは難しいと思う。
行政に頼るばかりでなく、島民一人ひとりが「魅力ある島づくり」とは何なのか、真剣に考える時期に来ているのではないか。壱岐島に魅力があれば、観光客も増えるし、UIターンで若者が壱岐に戻ってくるかも知れない。離島振興は島民自身が生み出すものだ。もう他人任せは止めよう。