今、市内のいろいろな店舗で“加盟店のぼり”が立っている、「しまとく通貨(以下、通貨)」をご存知だろうか。旅行など、長崎の離島を訪れる人のみが購入できることから、壱岐市民には馴染みが薄いかも知れない。
通貨は県内複数の“島”市町で共通に使用できる「プレミアム付き商品券」のことで、県内の島地域(対馬市、小値賀町、壱岐市、新上五島町、五島市、佐世保市宇久町)のみで流通し、その島の加盟店で商品やサービスの購入ができるというものだ。1セット6千円分の通貨を5千円で販売し、20%のプレミアムがついてくる。
壱岐市内でも壱岐空港カウンターや郷ノ浦港、芦辺港などのフェリーターミナル、一支国博物館でも販売されており、観光客ら来島者から好評を得ているようだ。
5日に開会した市議会定例会6月会議の行政報告で、白川博一市長は「しまとく通貨は壱岐島内で約3500セット、換金請求額が1993万4千円となっている。しまとく通貨の販売及び利用促進を図るため、大都市圏を中心に情報発信に努める」と話し、島内加盟店は250店舗にも達することから順風満帆のように思われる。
9日に開催された壱岐サイクルフェスティバルは過去最多となる659人が参加した。毎年開催している同実行委員会の尽力によるものだが、しまとく通貨を利用しての宿泊もあったようなので、通貨も一役買ったのかとも思う。
壱岐市の観光事業、特に交流人口拡大策において通貨は魅力的だが、一過性に終わるのではないかと心配している。本来、通貨で観光客らを増やす目的なのだが、その来島者がリピーターになってもらわなければ困るからだ。“おもてなし”の心を持ち、一見さんに再来島してもらい、また加盟店に寄ってもらう。そういう仕掛けが出来ているお店が何軒あるだろう。
通貨は平成28年3月31日まで購入可能としているが、最大発行額36億円に達した時点で事業終了となる。まだ間に合う。各々の加盟店が再来島してくれる仕組みや仕掛けを考え、是非、実践してほしい。この通貨事業が終われば、また今までと同じ「壱岐島」に戻ってしまう。そうならないように願いたい。