社説

台風の事前情報充実を。

台風19号が東日本を中心に甚大な被害をもたらした。台風の発生当時から被害を心配していた。インターネット上でも情報が多く掲載され、気象庁も事前に警戒を促したが、それでも被害は出てしまった。

1~2日間で年間雨量の3~4割という記録的な豪雨で、河川の氾濫、堤防決壊などの事態は防ぎようがなかったのかもしれないが、自衛隊などのヘリでの救出場面を見ていると、気象庁が事前に「降水量は1200人を超える犠牲者を出した狩野川台風(1958年)に匹敵する恐れがある」と警告していただけに、洪水ハザードマップの危険区域住民は早めの避難ができなかったものか、とも思った。

本市は台風の暴風・強風圏から外れていたが、11日夜から風が強くなり、12日午前2時24分には暴風警報が発令された。まるで台風の直撃を受けているような風の強さで、12日は航路もすべて運休になった。台風本体から離れている日本海側で、これほどの強風が吹いていることで、今回の台風19号の尋常ではない規模だと肌で感じた。

そのため11日深夜からずっとテレビで台風の様子を気にしていたのだが、民放は収録バラエティ番組の放送。NHKは1時間ごとに台風関連ニュースを10分間程度放送と他はL字型テロップで情報発信していたが、進路予測、昼間の映像、一部定点カメラの映像だけでは、この台風の恐ろしさを伝え切れなかったように思えた。マスコミも、以前のように海の側での危険な取材はやらなくなったし、働き方改革で深夜の取材も少なくなったのだろう。だが深夜であっても、すでに風雨が強烈な各地の映像があれば、危機感を高められたのではないか。

被害が明らかになった13日は、NHKも民放もヘリなどを駆使して、終日ニュースで伝えていた。もちろんそれも意味があることだが、防災のためには事前の情報がより効果を発揮するものだ。報道の在り方を考えさせられる台風19号でもあった。

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