白川博一市長が次期市長選に出馬しないことを記者会見で発表した。白川市政は4期16年で幕を下ろすことになる。その振り返りはまたの機会にするが、現職のいない次期市長選に向けては、期待と不安が半々だ。
白川市長は現在73歳。人生百年時代とはいえやはり高齢であることは否めないし、前回市長選時からすでに多選批判はあった。会見で白川市長も話したように生成AIなど新たなIT技術に対しても柔軟な対応ができること、白川市政が続いたことで硬直化した部分を解消できる新しいリーダーへの世代交代には期待が膨らむ。
一方で、行政畑一筋に歩んできた白川市長は、行政の隅から隅まで知り尽くしていた。国、県、全国離島振興協議会など各方面にも太いパイプがあり、国境離島新法成立など国を巻き込んだ大きな改革にもその手腕を発揮してきた。またその年齢からは考えられないほどのエネルギッシュさで島内外を問わず駆け回り、365日ほぼ休みなく市長業務に奔走してきた。市役所の中で最も働いていたのは白川市長で、記者としてその姿を見続けてきて驚嘆していた。
若い世代は柔らかな発想力や体力はあるかもしれないが、行政に関しては専門分野以外の知見には乏しく、国や県とのパイプもあまりない。良否は別にして仕事一辺倒ではなく、プライベートの時間を重んじる傾向が強い。すぐに白川市長と同じ働きを求めるのは酷な話だ。
もちろん新たなリーダーを長く温かい目で見守っていきたい気持はあるが、少子高齢化が進み消滅可能性都市にも陥りかねない本市にとって、これからも1年1年が勝負で、悠長なことは言っていられない。新しい市長には来年4月から即戦力として働いてもらわなければならない。
白川市長と次期市長では、政治姿勢に違いがあるのは当然のことだろうが、誰が次期市長になったとしても、白川市政16年間で築かれた財産をしっかりと禅譲してもらえるように、当選後に引き継ぎを行ってもらいたい。