3DCG映像の制作やゲーム企画・開発を手掛ける「株式会社STUDIO NIKA」(大阪市、酒井龍太郎代表取締役)は、世界的人気のオンラインゲーム「フォートナイト」上に、本市の伝統工芸品「鬼凧」をテーマにした「JINJA‐The Legend of Onⅰ Kite」を公開している。同社役員の増田貴大さん(39)が芦辺町の出身だったことから鬼凧に着目し制作指揮をとり、同町の鬼凧工房平尾がデザイン協力した。
ゲームのストーリーは、鬼祓(はら)いの祭事が行われる神社で突然異変が起こり、平和を取り戻すため、鬼凧探しの旅が始まるというもの。ゲームを通じて鬼凧の歴史や由来を学ぶことができるという。
同工房の鬼凧職人、斉藤あゆみさん(32)は「嬉しいです。これをきっかけに鬼凧や壱岐の島を知ってもらえたら」と話した。
制作指揮をとった増田さんのコメントは次の通り。
▽制作や作品にかける思いは。
―壱岐の豊かな文化や歴史を、現代の人々により身近に感じてもらいたいという思いから、作品制作を始めました。特に鬼凧は、壱岐の伝統工芸であり、島の人々の暮らしに深く根ざした文化財です。最新のテクノロジーを活用することで、ゲームやメタバースという新しい形で世界中の人々に壱岐の魅力を伝えることができます。伝統を守りながら、新しい表現方法で発信していくことが、現代における文化継承の一つの形だと考えています。
▽壱岐島で育った経験が作品に与えた影響は。
―壱岐の豊かな自然と深い歴史は、私の創作活動の原点となっています。古事記にも登場する歴史ある島であり、数多くの神社が点在する神々の島でもあります。幼い頃から触れてきた島の四季折々の風景や、地域に伝わる伝説や風習は、作品を作る上での貴重なインスピレーションとなっています。この島で育った経験があるからこそ、表現できる世界観があると感じています。
▽ゲーム企画・開発で活躍していることは、壱岐の若者にも将来の選択肢を含めて希望を与えていると思われる。壱岐の若者へエールを。
―AIが急速に発展し、様々なコンテンツが自動生成される時代だからこそ、私たちの地域が持つかけがえのない歴史や文化、伝統に目を向けてほしいと思います。それらは決してAIには作り出せない、私たちにしか表現できない大切な資産です。インターネットを通じて世界中の情報にアクセスできる時代だからこそ、自分の立ち位置や目指したい方向を見極め、ブレない芯を持って進んでいってください。壱岐という特別な環境で育った経験を、きっと皆さんならではの形で活かせると信じています。