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壱岐は島そのものが宝物 白川博一市長新春インタビュー

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壱岐にとっての2014年は、人口減少との戦いが大きなテーマとなる。少子高齢化に伴い人口の自然減が急激に進んでおり、3月には高校卒業生の大半が島を離れる。定住促進はもちろん重要な施策だが、即効性を求めるためには交流人口拡大策も双璧をなす施策となる。壱岐には観光客は元より、地元住民でさえ気が付いていない、その価値を見逃している宝が無数に埋まっている。「宝の島・壱岐」を再発見し、広く全国、海外へ発信していくことが、交流人口拡大に結びついていく。白川博一市長(63)にとっての「壱岐のお宝」は何なのかを、年始にインタビューした。
‐壱岐は「玄界灘の宝石箱」と呼ばれているほど、自然、歴史、食など宝物にあふれた島だ。市長にとってもっとも魅力を感じている宝は何か。
市長 1つを選ぶのは難しい。島そのものが宝と言えるのではないか。日本中の島の中で、これだけ自給自足に近い生活を送ることができる島はない。地下水が豊富で水資源に恵まれていることがその根底にある。
一方で、島の地形のおかげで災害に強い。もっとも高い岳の辻でも標高213メートルしかなく、なおかつ起伏に富んでいるため、雨水が1か所に集中しないで抜けていってくれる。海岸部も、よほどの高潮と満潮が合わさらなければ、滅多に浸水しない。
150万都市福岡に近いという地理的な部分でも恵まれているし、施設の面でも不自由が少ない。歯科を含めて31もの医療福祉施設がある。また全国、全県的なイベントを開催できるキャパシティもある。そのような全てを含めて、島全体が宝だと思っている。
‐市長としてだけではなく、個人的な見解で感じる壱岐の宝は。
市長 子どもの頃に磯場で潜って、アワビ、トコブシを獲ったのが忘れられない思い出だ。ウニかきで岩からはがし、蓋を爪で起こして、海水で洗って食べるのだが、そのコリコリとしたうまさは格別だった。水中メガネを通して見ると大きく映るので、発見した時の“わーっ”という喜びも大きかった。
近くの竹林で切った竹竿に糸を付けただけの釣り道具で、よくアラカブやカサゴを釣りに行った。リールなんてもちろんない。仕掛けがスーッと下りるようにオモリの重量をよく考えて、正確にポイントに投げ込み、藻に引っ掛からないようにする。ウキは使わず、手の感触だけでアタリを取る。子どもの中では名人だった。
釣った魚は炭をおこして七輪で焼く。よく釣れるクサビは背切りにして酢味噌で和えた。家業が農家だったので、両親とも畑で作業をしていて夜まで帰って来ないから、飯も自分で炊いていた。電気炊飯器なんてなかったので、釜戸に薪をくべる。沸騰したら少し蓋を開けて灰汁を押さえて、火を調整して蒸らす。おこげができて、本当にうまかった。ぜひもう一度、あの飯を食べてみたい。素晴らしい体験で、私の宝物になっている。
いま、すべてを再現することは難しいかもしれないが、それに近い体験を、壱岐を訪れる修学旅行生にしてもらいたいと思っている。きっと忘れられない思い出となるだろう。そんなおもてなしが、いずれは交流人口拡大にも結びついていくのではないだろうか。

 

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