長崎歴史文化博物館の移動博物館「長崎れきぶんがやってきた!」が8、9日に一支国博物館で開催された。
多目的交流室では、江戸時代に海外への窓口として多くの交流を繰り広げてきた長崎と壱岐について、歴史文化博物館が所蔵する蒙古襲来絵図、長崎版画などの資料やパネルの展示、江戸時代に来日した朝鮮通信使の足取りを追った仁位孝雄さんの写真展などが行われた。
観客が足を止めて見入っていたのは、江戸~明治時代に描かれた壱岐の地図。正保(1645~48年)年中、将軍徳川家光に献上された「壱岐国絵図」には、小島や岩礁の詳細な情報、港と他の都市を結ぶ航路、島内の道路、地区ごとの石高などが書き込まれており「現代の地図より詳しい」「道路がいまとほとんど同じなのには驚いた」などの声が上っていた。
体験交流室では午前、午後の2回、「ながさき版画体験」ワークショップが実施され、各回とも20人の親子連れなどが参加。代表作である「唐船図」、「ヲロシャ人」の4色版画を刷った。芦辺町の中村由加里さん(32)、愛里さん(4)親子は、由加里さんが版木をしっかりと押さえながら愛里さんが顔彩を塗っていく共同作業で、2枚の長崎版画を完成させた。由加里さんは「色版画は初めてで、良い経験ができました」と親子でのひと時を楽しんだ。愛里さんは「王子様の部屋に飾るの」と家で“王子様”と呼んでいる大好きな祖父へのプレゼントにするために、作品を大切そうに持ち帰った。