国立環境研究所と海洋生物の保全活動に取り組むNPO法人「OWS」(東京)は共同で16日、壱岐海域のサンゴ礁を調査した。
調査は毎年実施。今年は同研究所気候変動適応センターの山野博哉生物多様性領域長(52)ら8人が来島し、郷ノ浦町の黒崎半島周辺と半城湾内にある神瀬に設けていた調査区の生息の状態や周辺の魚の種類を調べた。調査の結果、病気や損傷により死んだサンゴはほとんどなかった。
壱岐・対馬海域のサンゴ礁は世界最北限に位置し、壱岐海域には球体状の塊を形成するキクメイシ属を中心に約30種類のサンゴが確認されている。黒瀬半島周辺海域の調査を終えた山野領域長は「変化はなく(サンゴが)元気でなによりです。海の環境が変わる中で、この海は影響を大きく受けておらず安定している」と話した。
山野領域長は1996年にこの海に潜りサンゴの存在を知った。「こんなところにサンゴがいるのか」と衝撃を受け、その後の壱岐以外の海域でのサンゴ研究のきっかけにもなったとなった場所という。
「カヤックとかで見てもらい、知ってはもらいたい気持ちはあるが、そっと成長を見守ってもらえれば」と話した。