県観光連盟が実証実験として販売している「長崎しま旅わくわく乗船券」の売れ行きが不振だと、長崎新聞に掲載された。昨年10月末の販売開始から今年2月末までの販売期間で7千枚を販売する目標だったのに対し、1月20日現在で121枚しか売れていないというのは、確かに厳しい数字だ。壱岐市の場合は、大人2千円分の体験型観光割引クーポンを、往復船代金に100円を足すだけで利用できる(島内宿泊者に限る)。観光客にはお得感がある制度に思えるが、いくらオフシーズンだとはいえこれほどまでに売れていないのは、同紙が指摘しているように「周知不足」も大きな要因であることは間違いない。
同乗船券については壱岐市議会でも取り上げられたが、宣伝は県に任せていて、市からの情報発信はほぼ見られない。島内の観光業者ですら知らない人がいるのだから、観光客に伝わっていないのも仕方がない。4月からは本格的な販売が開始される予定で、PR活動に本腰を入れることが求められる。だが肝心の体験型メニューが充実していなければ利用者増は見込めない。今回の実証実験期間に壱岐市が用意したメニューは11種類。周遊タクシー、定期観光バス、辰ノ島クルージング、シーキャンドル作り、真珠アクセサリー作り、釣り体験などいずれも2千円割引で体験できるのだからお得感はあるが、その体験メニューが壱岐を訪れるための決定的な理由になるかは疑問もある。
体験型メニューは、平成25~26年度に県の壱岐島ごっとり市場プロジェクト(総事業費1億2500万円、うち県交付金1億円)で百種以上が開発されたが、この中で現在も続けられているのはごく一部に限られている。これらの体験型メニューがどうして定着しなかったのかをしっかりと検証して、壱岐でしかできない体験型メニューは何なのか、観光客が壱岐に求めているものは何なのかを、もう一度見直してみる必要がありそうだ。