社説

社説・国に猛省を促したい原子力訓練

玄海原子力発電所3号機の再稼働について、九州電力が「来年1月中」との見通しを表明した中、内閣府は3、4日に原子力総合防災訓練を初めて玄海地区で実施した。
北朝鮮の水爆実験の影響で一部訓練が中止になったが、本市ではほぼ予定通りに2日間の訓練を実施。国がどれほど本気で離島住民の避難について計画しているのかを示す意味でも注目していたが、その対応は不信感を募らせるものだった。
すでに4回目の訓練となる県、市の対応は、訓練を重ねるごとに熟練してきた印象で、職員は懸命に取り組んでいたが、目を疑ったのは内閣府記録班撮影チームの行動だった。壱岐空港から陸自ヘリでの広域避難訓練の際、避難住民に正面からカメラを至近距離で密着し続け、搭乗許可もなくヘリ内部まで入って撮影した。
さらにひどかったのが、離陸直前になってもヘリ前部に回って撮影を続けたため、すでに離陸態勢にあったヘリから一旦、乗務員が降りて注意をした。このトラブルで離陸は5分近くも遅れた。
避難者には搭乗前に「ヘリの前方には絶対に行かないように」と注意をしており、撮影隊も聞いていたはずなのに、まったくお構いなしの行動はまさに暴挙。もし報道機関なら出入り禁止ものだ。
訓練の様子を広報することは確かに必要だが、それが訓練の邪魔になっては元も子もない。重大事故の際には1分1秒を争って避難を行わなければならないのに、その訓練時に内閣府は業者に対してどんな指示をしていたのだろうか。本気度が微塵も感じられない出来事だった。
協力してくれた自衛隊員には申し訳ないが、ヘリ搭乗の手順ももどかしかった。爆音の中での搭乗者名簿の確認や、ひもが絡まる認証札の配布に手間取る様子を見ていると、本番も同じことをしなければならないのかと疑問に感じた。
原発再稼働には大多数の市民が不安を抱いているのだから、「絶対安心な避難」を国は身を持って示さなければならないはずだ。

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