壱岐商業高校(長池純寛校長、271人)の山口愛実(あみ)さん(情報処理科3年=芦辺中出身)が、昭和24年(1949年)の同校創設以来初めての「全商(全国商業高等学校協会)資格試験7種目1級合格」の偉業を達成した。7種目1級合格は、今年度の数値はまだまとめられていないが、平成29年度は県内で4人、全国でも245人しか達成していない。山口さんはこの偉業により、卒業式前日の28日に産業教育振興中央会、東京壱岐雪州会、全商、県商業教育研究会から表彰されることが決まっている。
山口さんが合格したのは「珠算・電卓実務検定試験1級(電卓)」、「簿記実務検定試験1級」、「ビジネス文書実務(ワープロ実務)検定試験1級」、「英語検定試験1級」、「情報処理検定試験1級(プログラミング部門)」、「同(ビジネス情報部門)」、「商業経済検定試験1級」の7種目。全商は検定3種目1級合格以上の生徒を表彰しているが、今年度の壱岐商は3種目6人、4種目4人、5種目2人。7種目をただ一人合格した山口さんが突出していた。同校では昨年卒業の品川未歩さんが5年ぶりに6種目1級合格の同校最多タイ記録を果たしていたが、1年でその記録を塗り替えたことになる。
山口さんは「7種目合格は、入学した時からの目標だった。先生の指導や、簿記は商業科の友人たちが応援してくれて、達成することができたことが嬉しい」と周囲の協力に感謝した。目標通りに1年時に4種目で1級合格をしたが、「2年時は1種目を追加しただけで、その時点で5種目。英検が受からなくて、これはマズいと少し焦ったが、昨年2月に1学年上の先輩、品川さんが6種目合格したことを知り、これは負けられないと気合が入りました」。3年になって簿記実務検定、昨年12月には4回目の挑戦で英検1級に合格して、7種目合格を果たした。商業高校生が在学中に取得できる全商主催の検定試験は9種目あり、その9種目すべてに合格する生徒は全国で年間30~40人いる。山口さんは「取れるだけ取りたいとは思っていたが、そろばんは間に合わなかったし、会計実務検定は試験日程もあって難しかった」と断念。だが国家試験の基本情報技術者試験、商業高校とは直接関係ないが漢字検定2級にも合格した。
クラブ活動は情報メディア部に所属し、2年時には情報処理競技大会で県大会個人戦4位になって全国大会にも出場した。理数系には絶対的な自信があるように見えるが「理数系は、嫌いではないけれど、まったく不得意。特技は丸暗記で、商業経済検定は前日に単語600語を一夜漬けで丸暗記して克服した。絶対に他人には勧められない方法で、後輩たちには計画的に勉強するように教えています」とはにかんだ。だが、だからこそ「しっかりと学び直したい」という思いも強く、卒業後はKCS福岡情報専門学校(福岡市)に進学して、最先端のITスキルを身につける。「将来はセキュリティ・エンジニア(インターネットの情報セキュリティに配慮したシステム設計やサイバー攻撃を未然に防ぐ改善を行う技術者)になるのが目標です」と目を輝かせた。