サッカーJリーグのV・ファーレン長崎が、11日のカマタマーレ讃岐戦に3‐1で勝利し、シーズン残り1試合を残してJ1自動昇格の2位を確定した。2013年にJ2入りし、いきなりプレーオフ圏内の6位になってから5年目のJ2シーズン。ついに悲願のJ1入りをホームで決めて、クラブ史上最高の2万2407人のサポーターと喜びを分かち合った。
壱岐は福岡の経済圏にあるが、スポーツに関しては小学校から高校までのつながりがある長崎が、やはり地元になる。本市のサポーターにまずはお祝いを申し上げたい。
だが今後は決して楽観視ができない。長崎はすでにJ1ライセンスを取得しており、ホームスタジアム(トランスコスモス長崎)の設備に関しては問題ないが、立地面から茂里町に建設予定の球技専用スタジアムへの移転問題はまだ解決していない。「育成年代の整備」「財務・法務」も不足している。
特に財務面でJ1には「3年連続赤字で降格」という規定がある。長崎は16年度決算で1億2千万円の赤字を計上し、約3億円の累積赤字を抱える経営難に陥った。不透明な経営問題も露呈した。今年3月には筆頭株主である地元企業のジャパネットが、株式100%取得により子会社としたことで経営難を乗り越えたが、赤字体質自体が完全に解消されたわけではない。
私は北海道のスポーツ新聞の記者として、コンサドーレ札幌がJ2で勝っている時は観客が集まるが、J1に昇格して負け続けると次第に寂しくなってくるスタジアムを見てきた。「負け試合は見たくない」というファン心理を解消することは本当に難しい。戦力補強のため地元に愛着のある選手を切り、外国人選手を多く入れることが多いが、それがまたファン離れを招くケースもある。
V・ファーレンがJ1で定着していくためには、本市をはじめとした県内離島がユースチームやスクールにより密接に関与できるシステムづくりが必要だ。