盆休みの期間、島内の観光地、施設を巡っていると、観光客、帰省客が例年よりも多くなっているように感じられた。天候に恵まれた面もあるが、有人国境離島法の航路運賃低廉化や滞在型観光メニュー開発なども奏功しているようだ。観光客に話を聞くと、やはり壱岐の最大の魅力は「海」だ。福岡の女性は「沖縄に行くのは予算、時間的に難しいが、壱岐なら日帰りでもきれいな海を楽しめる」、東京の男子大学生は「離島の海が好きだが、伊豆七島だと人が多くでゴチャゴチャしているし、小笠原は行くのが大変。壱岐の海は神秘的なイメージもある」などコバルトブルーの海、白砂の海岸、人の少なさ、交通アクセスの良さを強調していた。
その最大の売り物である「海」を、市、市民はもっと大切にするべきではないだろうか。海岸漂着ゴミは世界的な問題になっており、根本的な解決は一朝一夕には難しいが、海岸清掃はボランティアに頼るだけでなく、市としてもしっかり予算を割いてもらいたい。先日、石田町の海岸を一人でボランティア清掃している若い旅行者がいた。その志の高さに感動するとともに、旅行者にそこまでさせてしまうことに恥ずかしさも感じた。もっと恥ずかしいのは、海にたばこの吸い殻をポイ捨てする市民がいることだ。海に生活を支えてもらっている漁師や観光業者にも、そんなマナー違反を行っている人がいることは本当に残念なことだ。壱岐は葉たばこの生産地でもあり、JT(日本たばこ)と共同で携帯灰皿を配布したり、マナー遵守を促すことも自治体の役割だろう。
将来的なことを考えれば、壱岐海域での海砂採取量の削減も、美しい海岸線を守っていくためには必要不可欠な施策であるはずだ。壱岐海域の砂質がいくら優秀だとはいえ、県内採取量の大半を壱岐海域で占めている現状はやはりおかしい。海砂採取が海岸線に対してどのような影響を与えるのか、徹底的な調査を行って対処してもらいたい。