厚生労働省が発表した「簡易生命表」によると、2017年の日本人の平均寿命は女性が87・26歳、男性が81・09歳で、いずれも過去最高を更新した。前年比で、女性は0・13歳、男性は0・11歳延びた。がん、心疾患、脳血管疾患などの死亡率が改善したと同省は分析した。厚労省が把握する50の国・地域で比べると、女性は3年連続の世界2位、男性は前年の2位から3位に下がった。1位は男女とも香港で、女性は87・66歳、男性は81・70歳だった。
勘違いしがちだが、平均寿命とはその年に亡くなった人の平均年齢ではなく、その年に生まれた人(0歳児)の平均余命である。例えば現在65歳の1953年生まれの男性の場合、最新の完全生命表によると平均余命はあと11・9年と推計される。平均寿命よりも約3年短い。それでも今年度百歳に到達する人は9月1日現在、全国で3万2241人。百歳以上の人はトータルで6万9785人もいる。長崎県の百歳到達者は521人(男67、女452)、百歳以上は1078人(男122、女956)だった。「人生百年時代」という言葉は大げさではなくなってきている。健康寿命を延ばすと同時に、社会に役立つ生き方もまた求められている。
15日に女優の樹木希林さんが亡くなった。75歳なので女性としては「早すぎる死」なのかもしれないが、晩年まで映画の名作に引っ張りだこで女優として唯一無二の存在として君臨し、全身ガンと闘いながら最後まで仕事を全うした。「死んだらあちらには持っていけないから」と物にも、金にも、名誉にもまったく執着せず、多くのメッセージを遺し、ほぼ人手を煩わせることなく旅立った。見事な生き様だった。
人間、齢を重ねるごとに欲が深くなり、存在意義をアピールしたくなり、怒りっぽくなることが多い。誰もが希林さんのように達観できるわけではないが、少なくとも若者たちの邪魔にならないよう心掛けたいものだ。