2009年、民主党政権下の内閣府が設置した行政刷新会議で、スーパーコンピューターの開発予算削減を決定する際、蓮舫参議院議員が要求予算の妥当性について説明を求めた、「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」の発言が物議を醸した。
国内ではあるが壱岐で1位といえば、昨年1月、JA壱岐市アスパラガス部会が第41回日本農業賞集団組織の部で最高位となる大賞に輝いたことや、同年10月、第23回全国消防操法大会「小型ポンプの部」に出場し、見事優勝を果たした石田地区第2分団第3小隊などがあり、島外メディアの取材などから、壱岐を大いにアピール出来たと思う。
観光で成功した事例では“ゆるキャラグランプリ2011”優勝の熊本県PRキャラクター「くまモン」が有名だ。くまモンは非常にシンプルな風貌だが、ただ可愛いかったから優勝できたわけではない。「九州新幹線の全面開業で人や物の流れが大都市に集中し、熊本は素通りされ、過疎化するのではないか」との懸念から、“くまもとサプライズ”と称したキャンペーンを打ち出し、くまモンは誕生した。
PR戦略アドバイザーを務めた放送作家の小山薫堂さんやアートディレクターの水野学さんを起用。関西以西からの観光客誘致を柱にした交流人口拡大策を実践することになる。
関西圏との交流人口を増やすには関西での話題化を優先させるべきだと判断し、「くまモンを関西でブレイクさせ、熊本に里帰りさせる」という、細かなストーリー設定と複数のメディアを組み合わせた戦略が、くまモンを全国区に押し上げる一因となった。
その効果は絶大で2010年度の関西地方でのPR効果は広告料換算で6億4千万円と試算。許可申請があれば無料となるくまモンを使ったグッズの売り上げも11年は25億円を超えた。
壱岐の人口が減少する中、交流人口拡大が必須である壱岐。大きな予算を投資し1位を獲得した、くまモンのストーリー戦略に学ぼう。市観光連盟には事業費1億2500万円の“「がんばらんば長崎」地域づくり支援事業”もある。壱岐をメジャーにするために1位を目指さなければ2位、3位もないのだ。