市議会定例会9月会議の産業建設常任委員会(中田恭一委員長)が18日に開かれ、委員会に付託された公の施設の指定管理者の指定について審議した。市立一支国博物館はこれまでの乃村工藝社に替わってパブリックビジネスジャパン(本社・熊本市、萩原宣社長)を、市ケーブルテレビ施設は関西ブロードバンドに替わって光ネットワーク(本社・熊本県高森町、陶山和浩社長)を次期(平成31年4月1日から36年3月31日)指定管理者に指定する議案を、委員会はともに賛成多数で可決し、28日の最終本会議で報告することを決めた。
一支国博物館の指定管理は、開館前から管理運営に携わってきた乃村工藝社が3期目の応募を行わず、1社だけ応募したパブリックビジネスジャパン(以下、パブリック社)が指定管理者選定委員会で6割以上の得点を得たことで候補となった。産業建設常任委では、観光商工課からこれまでの経緯について説明された。乃村工藝社からの辞退の申し出は3月29日の募集開始前に市に伝えられており、5月7~11日の参加表明受付を見送った。
鵜瀬和博委員は「開館前から携わってきた乃村が降りるというのは大変な事態。3月から判っていたのなら、もっと早くに議会に相談してもらいたかった」と指摘。担当課は「選考作業を進めており、(再募集などで)それが止まると9月議会への上程が間に合わず、引き継ぎなどに支障が出ると考えた」とスケジュールを優先したことを説明した。
植村圭司委員は「パブリック社が提出した来年度の事業企画書には、とても実現不可能なのではないかと思えるものが多い。企画展の内容をどうするのか」と質問。担当課は「その点は選定委員会でも指摘があったが、同社は代替案があるとの回答だった。各方面にネットワークがある会社なので十分にやっていけると判断した。代替案の内容は聞いていない」と答えた。
音嶋正吾委員は「1社しか応募がなかったことは指定管理者制度の根幹に係るゆゆしき事態。決算は黒字なのに乃村はどうして撤退したのか。パブリック社は博物館運営を行った実績がない。文化財の貸借は信頼関係がなければできない。職員の専門性を確保できるのか」と質問した。担当課は「学芸員1人を含めて博物館の現スタッフには、新管理者の下で引き続き業務を継続してもらいたい。議決後に雇用を含めて調整に入る。乃村の撤退理由は人材確保、育成が難しい、マネジメントの人材が不足しているとのことだった」と説明。
白川博一市長は「全国の博物館を運営している乃村に比べると、新管理者が見劣りするのは当然で、心配はしているが、応募が1社だけだったし、選定委員会で及第点となった。点数が不足していたら再募集も考えたが、事務手続きに瑕疵(かし)はなかった」と選定の正当性を主張した。
植村委員は「現学芸員が残らなかったらどうするのか」と質問。担当課は「そのまま引き継いでもらいたいが、できない場合、新管理者は一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所からアドバイザーに入ってもらい、全力で学芸員を探すとのことだった。また乃村とアドバイザー契約を結ぶ方針も示されている」と説明した。委員会採決では2人が反対したが、4人が賛成し、議案は可決すべきものとなった。