高齢者が関係した悲惨な交通事故が全国で相次いでいる。
19日、東京・池袋で87歳男性が運転する乗用車が約150㍍にわたって信号を無視して暴走し、横断中の歩行者などを次々にはねて2人が死亡、6人が重軽傷を負った。21日には、神戸市のJR三ノ宮駅近くで、64歳運転手の路線バスが横断歩道に突っ込み、8人が死傷した。どちらの事故もまだ捜査中で原因は特定されていないが、この数年、同様な死亡事故は多発している。2017年3月に施行された改正道交法で、75歳以上の高齢運転者に対する検査や講習の強化も盛り込まれた。また高齢者の運転免許返納も進んでいるが、悲惨な事故は後を絶たない。
長崎県警がまとめた「平成30年中の交通事故発生状況」によると、年齢別交通事故発生状況(第1当事者)はどの世代も平均的に交通事故を起こしているが、死亡事故を起こした年代別では60~64歳20・0%、65~74歳22・9%、75歳以上8・6%と60歳以上で51・5%と過半数に達している。高齢者の交通事故件数は減少しているものの、全体に占める割合は年々増加している。壱岐署によると今年1~2月の市内の交通人身事故は6件で、このうち高齢者が運転中の加害事故が2件、高齢者が運転中の被害事故が2件あった。本市の場合、散村型のため買い物、通院などに公共交通機関の利用が難しく、高齢者の免許返納はなかなか難しい問題だ。だが、ヒヤッとするような運転をしている高齢者を見かけることはじつに多い。いつ大きな事故が起こっても不思議ではない状況だ。
今年度に各小学校区で組織化を目指しているまちづくり協議会では、コミュニティバス、タクシーの運行を計画する地区もありそうだが、先進事例を見ても車両導入、運転手確保、予約方法、安全運行などクリアしなければならない課題は多い。導入段階までは市が主導し、全地区で運行することが高齢者交通事故防止の一歩になるのではないか。