昨年12月25日、テレビ朝日系音楽番組「ミュージックステーション」にB’zの稲葉浩志さんが出演し、昨年3月の壱岐でのライブについて、司会のタモリさんの質問に答えた。
タモリ:今年印象に残ったことは?
稲葉:ツアーで初めて壱岐という島に行かせていただき、歓迎してもらったことです。
タモリ:私も高校の時行きましたよ。良いところでした、あそこは。食べ物うまかったでしょ?
稲葉:壱岐牛という牛肉がありました。
タモリ:海の物もうまかった?
稲葉:コンサート会場の周りのテントで焼いたり、煮たりとか。
時間にすれば数十秒のやり取りだったが、クリスマスのゴールデンタイムに、タモリさん、稲葉浩志さんという超大物2人が、壱岐についてこれだけ語り合ってくれたことは、2015年の十大ニュースに加えても良いほどの衝撃だった。
いやらしい考え方だが、視聴率から単純に計算すると全国で1千万人程度がこの会話を観ていた可能性があり、広告費用に置き換えれば数億円の効果があったとも言える。旅やグルメ番組ではなく、プライベート的な会話の中での紹介は、より印象度が高い。
稲葉さんが1年でもっとも印象に残った出来事として壱岐でのライブを挙げてくれたのは、「壱岐ベイベー」と呼ばれるB’zライブ歓迎委員会が、島を訪れた客を熱烈にもてなししたことに、B’zメンバーも感激したからだった。ファンの気持ちの高揚から「伝説の壱岐ライブ」と言われる一夜が生まれたのだ。
壱岐ベイベーは「島外から千人もの人が来てくれることは滅多にない。思い出に残る一夜にしてもらいたい」という有志の思いが広がったものだった。この思いに県振興局や市観光連盟などもバックアップを行った。まさに市民主導の地方創生の好例となった。
「一石を投じる」。静かな水面でも1つの石を投げると波紋ができて次第に大きく広がっていく。壱岐ベイベーはまさにそんな一石となった。