壱岐物産展が2月21日から27日まで、東京・渋谷の東急百貨店本店で開催された。ウニ、アオサ、ワカメ、ゆず加工品、壱岐牛ハンバーグ、壱岐牛カレーパン、かすまきなど、東京文化の中心地で1週間にわたって販売が行われた。都民に対して壱岐の魅力を伝える大きな機会になったことだと思う。
だが、この物産展の開催を私が知ったのは、東京に居る友人のフェイスブック投稿を見たからだった。情報を集めている新聞記者の私でも知らなかったのだから、壱岐市民の多くも知らなかったことだろう。この友人には多数のフォロワーがいる。投稿は物産展終了直前で、フォロワーからは「すごく行きたいけれど時間がない」「写真以外にどんな商品があるのか」などの書き込みが数多くあった。
私も詳細を調べようとインターネットで検索したが、なかなかこの情報が引っ掛からない。渋谷東急本店のホームページにも掲載されておらず、ようやく見つけたのは壱岐市ふるさと商社フェイスブックの投稿だけで、ここにも販売している商品の詳細や価格などは書かれていなかった。この投稿にはふるさと商社で扱っている商品へのリンクは貼られていたが、販売していた商品とは違うものだった。たとえこの投稿にたどり着いた東京の消費者がいても、購入には結びつかなかったことだろう。購入した人が「もう一度買いたい」と思っても、その情報が得られない。様々な苦労の末、都会の一流デパートで物産展を開いても、たまたま通り掛かった人だけを相手にしていたのではそれほどの売り上げにはならないし、せっかく壱岐を宣伝する機会も活かされていない。何とももったいない出来事だった。
いまの時代、情報がいかに大切なのかは市も十分に理解しているはず。だがその情報をうまく活用するツールがまだ確立されていない。各担当部署にバラバラに任せるのではなく、広報課、情報発信課などを設置して、情報発信の集約が求められる。