あまごころ本舗株式会社(鈴木利之社長、本社・福岡市)は、壱岐売店(郷ノ浦町東触)を改装し、産地直売施設「あまごころ壱場(いちば)」として3月18日にリニューアルオープンする。12日に産直施設へ出品・出店を希望する農業者、漁業者、加工業者、小売店主らを対象にした説明会を開き、約80人が集まった。これまで島内で不足していた産直施設を本格的に設置することで、壱岐観光の拠点施設としての充実を図り、さらに壱岐産品を全国へ売り出していく考えだ。
説明会で鈴木社長は「壱岐売店は年間約8万3千人以上の観光客などが訪れて賑わっているが、お客様のニーズは“地元だけの特産品”“地元で獲れたばかりのもの”を求めるようになってきている。地域活力再生と魅力ある地域づくりを念頭に置き、農畜水産物、加工品、商工品の直売コーナーを広く設け、壱岐のアピール、農畜水産業の振興、壱岐の活性化につなげていく」と新施設についての趣旨を語った。
直販コーナーは現在、事務所として使用している棟を改装し、約70平方㍍の広さで設置。授乳室、障がい者用トイレなども新たに整備する。午前8時から午後6時まで、定休日なしに年間通しての営業で、施設年間利用客は約8万8千人を見込み、施設全体での年間販売額目標を約4億6千万円に置いている。
オープン後は多彩なイベントが計画されている。「ここに来れば、いつでも何かやっている、盛り上がっている、という市場(壱場)にしたい」(鈴木社長)。イチゴ、アムスメロン、ウニ、ユズ、ブリ、サワラなどの収穫期に合わせたフェアや、ゴールデンウィーク、お盆、ハロウィンなどの行事に合わせた年間を通したイベントを実施する。
産直コーナーは島内の各スーパーマーケット、JA壱岐市の2か所の直売所、マリンパル壱岐などに設置されており、地元客で賑わっているが、観光客が立ち寄るような設備、サービスは不足している。観光客が壱岐産品を満喫できる「道の駅」の様な施設設置が以前から熱望されていたが、整備するための委員会を市が設置したものの、具体案が出ずに実現に至らなかった経緯がある。
昨年制定された市まち・ひと・しごと総合戦略の中にもその整備が盛り込まれているが、「道の駅」のような官主導では民業圧迫などクリアしなければならない問題が多かった。その点、今回は民間企業ですでに観光客集客の実績があるあまごころ本舗による設置だけに、説明会に出席した市観光商工課、壱岐振興局、市観光連盟の職員も「ぜひ成功してもらいたい」と口を揃えた。
同社の村田妃富美会長は「出品・出店者のアイデア次第で、いろいろな形態が考えられる。コーナー内にテーブルを設けるが、レストランや外のテーブルを活用して、産直品をその場で食べてもらうことも可能。ランチバイキングのような形にもできる。皆さんの知恵をお借りして、活性化したい。壱岐は人口減少で寂しくなってきているが、まだまだ復活のチャンスはある。弊社の福岡、東京の拠点を活用して壱岐を全国へ売り出すことも可能。3年間でみんなが笑えるような施設にしたい」と思いを熱く語った。
今後は2月19日に契約希望者説明会、2月下旬に契約締結・メディアへの告知、3月初旬に出品商品登録・産直システム講習会などを実施し、3月18日にオープンする。