社説

社説 定住・移住促進には現場の声を

先週紹介したNHK朝の連続テレビ小説「まれ」で、主人公の津村希が石川県輪島市役所に就職。産業振興課移住定住班に着任した。UIターン促進や移住者との関わり合いが、今後の物語で描かれていく。
壱岐市では15日、第4回市人口減少対策会議が開かれ「定住・移住」をテーマに討論が行われた。市長を会長とする21人のメンバーには市の部長級8人がいるが、残念ながら実効性のあるアイデアは聞けなかった。メンバーの中にIターン者は1人もおらず「現場の声」を聞くことができない会議では、アイデアが沸かないのも仕方がない。
定住・移住に「雇用」が大切なことは当然だが、十分な雇用があれば何の対策をしなくても定住者は増える。雇用情勢が厳しい中で、いかに対策を練るかが求められているのだ。
例えば、パソコンなどを使って在宅ワークをしている人、現役を引退・もしくはセミリタイアして年金である程度の生活ができる人、壱岐で起業する人などを対象に、それぞれのケースに応じた具体策の論議が必要だ。
そうしたIターン者が壱岐で新生活をスタートするに当たって最初に苦労するのが、住宅と引っ越しだ。住宅に関して会議で「空き家バンク」の登録促進が提言されたが、市の空き家バンクが機能していないことは2年以上前からこの社説で指摘しているし、市議会一般質問でも議題に挙がった。掲載されている物件に住みたいと思えるのか、市長に問いたい気持ちになる。これは市のやる気の問題だ。
登録促進よりも先に市内2軒の不動産業者と提携し、保有物件をすべて空き家バンクに登録。UIターン者に対して不動産仲介料や、壱岐ビジョンのテレビ・インターネット設置費用を市が負担するなどの策が考えられる。
離島のため割高な引っ越し料金、車両運搬費用、中古家具・家電製品購入の補助も有効だ。実効性、即効性のある策をまず実践して欲しい。

 

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