JA壱岐市の定期4月子牛市場が9、10日に芦辺町の壱岐家畜市場で開かれ、平均価格は64万8920円(牝59万6342円、去勢68万4105円)で、前回の2月市場と比較して85・3%、約11万2千円の大幅下落となった。牝が約8万6千円、去勢が約13万6千円の下落だった。
平均価格が60万円台になるのは約69万6千円だった2015年10月市場以来、4年半ぶりだった。
島内での新型コロナウイルス感染者の出現、都市部での国の緊急事態宣言などの状況から、JA壱岐市は子牛市場の開催を慎重に検討した。川﨑裕司組合長は「購買者にとっては壱岐に来ることも、途中の交通機関を利用することも不安要素だし、壱岐市民にとってはこの時期に多くの購買者が来島することに不安を感じると思う。だが子牛の売買は日齢が決まっているものであり、市場を止めるわけにはいかない。万全の衛生環境を整えた上で開催することにしたが、全国的に牛肉価格は激しく下落しており、取引価格はかなり下がると思う」と当初は平均価格20万円近い下落も覚悟していた。
JA壱岐市は通常の牛に対しての防疫体制に加えて、市場入口には消毒薬を噴霧する「人体消毒ゾーン」を設け、検温・手指消毒を実施、マスクと薄型ゴム手袋を配布。食堂は営業休止、露店・物品販売も中止とした。さらに購買者と生産者を完全にゾーン分けして専用通路を設ける徹底ぶり。まるで口蹄疫流行時のような消毒体制で市場を開催した。
さらに購買者には宿泊施設からの外出自粛を要請し、夕食提供がないビジネスホテルには弁当を手配した。
JA壱岐市畜産部の寺尾幸博部長は「防疫体制に関しては購買者から『ここまでやってくれたのか』と高い評価を頂いた。安心してセリに参加して頂けたと思うし、市民の不安も最小限に抑えられたと思う。購買者も41人が参加し、通常よりも4~5人少ない程度だった。接触をより少なくするために、生産者には取引終了後、すぐに帰ってもらった」と万全の体制を整えた。
価格下落に関しては「生産者は大変だと思うが、緊急事態宣言後の東京中央卸売市場での牛肉価格の大幅下落を考えると、よく持ちこたえたとも思う。前回比82・0%の初日はどうなることかと思ったが、2日目に88・4%と盛り返した」と一定の評価をした。
購買者を人体消毒ゾーンに案内
生産者と購買者をゾーン分け