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耐震診断で庁舎問題再燃 石田庁舎は大規模改修が必要

市議会定例会12月会議は18日、最終本会議を開き、白川博一市長が4日の行政報告で取り上げた「4庁舎耐震診断結果」について、原田憲一郎建設部長が6月15日から11月10日に実施した診断結果の数値を発表。防災拠点施設として0・9以上が望ましいIs値(構造耐震指標)は、各庁舎の最低値が郷ノ浦庁舎0・30、勝本庁舎0・37、芦辺庁舎0・55、石田庁舎0・41と、いずれも大きく下回っていたことが明らかになった。
Is値は震度6強~7の地震が起きた場合、0・6以上なら「倒壊・崩壊する危険性が低い」、0・3以上0・6未満は「危険性がある」、0・3未満は「危険性が高い」とされている。4庁舎はいずれも「危険性がある」ゾーンに入り、郷ノ浦庁舎は「危険性が高い」ゾーンとの境界の数値だった。
コンクリート圧縮強度試験は4庁舎とも設計基準強度を上回っており、コンクリートの劣化は見られないが、壁やひさしなどの耐力不足が判明。特に石田庁舎は屋根スラブ(荷重を支える鉄筋コンクリート造の板)の耐力不足の恐れがあり、改修には屋根の大部分を撤去しなければならない可能性がある。
石田庁舎は2階床にも大きなひびが発生しており、その場合は基礎とは柱を新設して大梁を支える補強方法となり、長期にわたり庁舎が使用できない状況となることも判明した。
同様に、郷ノ浦庁舎や芦辺庁舎なども、詳細な調査の結果によっては、仮庁舎が必要な工事を行うケースも考えられる。市は12月1日に庁舎等整備検討委員会(委員長・中原康壽副市長、18人)を設置し、今年度中に基本計画を策定。来年度に詳細協議などを行い、合併特例債が活用可能な平成31年度末までに改修工事を終了させる方針を示した。
これに対して町田正一議員は「庁舎は80~百年保つなどという報道や同様な意見をした議員もいたが、診断結果は惨たんたるものだ。Is値を0・9以上に引き上げるためにはどの庁舎も大規模な改修工事と仮庁舎が必要で、当初20億円と試算されていた耐震・長寿命化工事費用ではとても収まらないのではないか。その工事をしても耐用年数が延びるわけではなく、10年、15年程度しか使用できない。東日本大震災後、建設資材は高騰しているし、東京五輪を控えて人手も足りないず、合併特例債を活用するためのスケジュールも極めて厳しい。改修工事は壮大な無駄遣いに思える。概算でどれだけの費用がかかるのか、新築した方が良いのではないか」と質問した。
原田部長は「平成28年度当初予算で詳細調査を行う予定。費用についてはその後でなければ判らない。20億円というのは先進地事例を参考にしたものだ」と説明。白川市長は「住民投票の結果に従い、4庁舎を改修する方針を決めた。その考えに変更はない」と話した。
市山繁議員は「郷ノ浦庁舎の工事を行う際は、壱岐振興局を使用できないか」と質問したが、眞鍋陽晃総務部長は「振興局は29年度に天井の改修工事を行うと聞いており、仮庁舎として使用はできない」とし、原田部長は「仮庁舎が必要な場合は、できるだけ既存の建物の使用を検討する」などと話した。
町田議員は「新年度当初予算案の際に、徹底的に追求する」と話しており、工事費用の見積もりによっては今後、庁舎問題が再燃する可能性も出てきた。
議会は一般会計補正予算など13議案を原案通り可決し、散会。産業建設常任委員会に付託された株式会社壱岐郵船から提出の「『壱岐~福岡間の通勤・通学航路』運航についての要望」は、「更に慎重な調査に時間を要するため」継続審査となった。

 

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