6月28日の市議会定例会6月議会最終日の閉会後、市議会全員協議会が開かれた。全員協議会が報道に対して公開されたのは、現体制では今回が初めてのことだった。新・芦辺中学校の建設が遅延していることがテーマであったため、市民に対して正確な情報を伝えることが重要であるとの議会の判断だった。テレビ放映施設がある本会議場での開催だったが、報道の入室を認めただけで、市民への公開、市ケーブルテレビでの放映は行われなかった。
「全員協議会」は多くの自治体の議会で開催されているが、壱岐市議会基本条例の中で規程されていない。つまり非公式な「集まり」である。平成28年度議会報告会でこの全員協議会について市民から説明を求められた市議会は「いずれ議案提出されるものなどについて、事前に現状、経過など説明を受けたり、議員間の連絡の場である」と説明した。
市議会基本条例第6条2項には「議会は、本会議のほか、すべての会議を原則公開とする」と規定されているが、公式な会議ではないため「公開の必要はない」との姿勢を続けていた。だが実際には、議案についての詳細な議論はこの全員協議会で行われていて、本会議や常任委員会では型通りの市執行部の説明と議案採決が行われている状況から、報道はこれまで再三にわたって全員協議会の公開を求めていた。今回に限っての公開ではあったが、情報公開姿勢は一歩前進したと言える。
だが、例えば長崎県議会では全員協議会規則が制定されており「全員協議会はこれを公開する。但し、議長又は議員の発議により出席議員の3分の2以上の同意があった場合は公開しないことができる」と規定し、一般の県民も原則的に傍聴できる仕組みになっている。諸問題の核心についての論議を非公開の全員協議会の場で行い、手続きだけを本会議で行うことは、議会の本質から逸脱している。壱岐市議会も全員協議会原則公開の規定を制定すべきだ。