令和の新時代を迎えた。様々な問題を抱える日本の今後にとって、新時代の幕開けは打開のきっかけづくりになる。
北海道夕張市が財政破綻し、財政再建団体となったのは平成19年3月、12年前のことだった。簡単に言えば、自治体の破産である。当時、私は北海道で新聞記者をしていたため、この問題について多く取材もした。国のエネルギー政策転換により主産業だった炭鉱が次々に閉山し、平成に入って2年目に、最後の三菱南大夕張炭鉱も閉山した。炭鉱会社の負の遺産を市が買収するなど処理を行うため、炭鉱閉山処理対策費は583億円にも及んだ。その後の経緯には様々あるが、結局はこの対策費が夕張という自治体を破綻に追い込んだと言える。
当時の市長が映画祭開催やレジャーランド誘致などでさらに借金を膨らませた元凶のように言われることも多いが、炭鉱以外に何もなかった夕張で、懸命にもがいてきた姿を見ている者にとっては、一概に批判することはできなかった。名画「幸福の黄色いハンカチ」が誕生したのもこの夕張だったし、吉永小百合さんの主演100作目「北の零年」も夕張でロケが行われた。映画祭をきっかけに多くの文化人が夕張を支援した。頑張りすぎた結果が財政破綻となったものだった。
俯瞰的に見て、壱岐市はかなり頑張っている自治体だと言えると思う。たまに行き過ぎ、手の広げ過ぎが批判の対象となることもあるし、国の方針次第で夕張と同じ道を辿る可能性もないとは言えないが、衰退に対して何もしないで手をこまねいているよりも、はるかに良いことだと思っている。令和最初の大きな課題が、新時代の象徴であるSDGsをいかに成功させるかだろう。もはや提案した1企業の範疇ではなく、市が一体となって2030年に向けて17のゴールにたどり着かなければならない。まだこの単語に違和感を抱いている市民が多いので、市民に対して理解を進めることがその第一歩となる。