2週前の社説で指摘したUIターン者支援策について、市議会12月会議一般質問で呼子好議員がいくつかの質問を行った。その中で北海道雨竜町、島根県出雲市が行っている積極的なUIターン誘致策の例を出して、壱岐市の現状について市長に答弁を求めた。
市長は「UIターン者に対して空き家・空き地情報をホームページで提供している」と市の取り組みを強調したが、その利用状況は、情報提供を始めた平成18年からトータルで、空き家は20件が契約成立うちIターン者6件、Uターン者1件で、残りは地元民の利用。空き地は15件の成立で、Iターン者2件、地元民13件。UIターン者の利用は8年間で家7件、土地1件。この数字では効果を上げているとは言えない。
現在も空き家5件、土地2件が掲載されているが、空き家は同じ物件が以前から掲載され続けており、改修、整理、本格的な清掃が必要では成約は厳しい。市長や担当者が「この家なら私が住みたい」と思うような物件の掲載が望まれる。
Iターン希望者が多く利用している一般社団法人移住・交流推進機構の「JOIN ニッポン移住・交流ナビ」は全国自治体のUIターン情報が網羅されているが、長崎県のところには五島市、対馬市、平戸市など県と6市町の情報は掲載されているが、壱岐市は掲載がない。
県ホームページのながさき田舎暮らし情報局には壱岐市の情報も掲載されているが、「移住者への特典」として書かれているのは「『日本の渚百選』や『快水浴場百選』にも選ばれる美しい海水浴場が点在するほか、イルカと触れあえるイルカパークやウニやサザエを簡単に取ることができる磯場などもあります」(原文まま)。確かに美しい海は魅力だが、「特典」とは言葉の意味が違う。
「まずは働く場の確保が重要」と市長が言うことにも一理あるが、仕事がなくても老後の田舎暮らしを望んでる年金世代は多い。定住人口増加に即効性がある年金世代の移住に、さらに積極的に取り組むべきだろう。