市庁舎建設検討委員会の答申内容が19日に発表された。17人の委員が昨年5月から10回の会議を行い、菊森淳文会長が中心となって様々な角度から検討を行い、じつによく練り上げられた答申が作成された、と評価している。
市は今後、市民、議会と「建設の賛否も含めた討論」を徹底的に行う方針を示した。市長も「建設ありき、ではない」と明言している。市民の声は、パブリックコメントを求めるのか、住民投票を行うのか、その方法については「未定」とのことだが、新庁舎建設は市民にとっても極めて関心の高い事柄だけに、幅広く意見を求め、真しにその声に耳を傾けることは重要なことだ。
だが、そこで「建設は不必要」という声が過半数を占めたとしたら、検討委員会の答申はまったく不必要なものになってしまいかねない。それだけに、今回の諮問の方法には疑問を感じる。
まずは建設の必要性についてのみ諮問を行うべきだったのではないか。今回の検討委員会で建設の賛否については、ほぼ1回の会議で意見集約を行ったため、深い論議には至っていない。
新庁舎建設による業務の効率化で、どの程度の人員削減や業務のスピードアップができるのか。各庁舎間移動による時間の浪費、燃料代がどれくらい削減できるのか。わざわざ職員が移動せずにネット回線を利用したテレビ会議ができないのか。数値まで明示したシミュレーションが行われたわけではない。
本庁舎が現在の郷ノ浦から他所へ移転した場合、郷ノ浦地区の商店街などにどのような影響を与えるのか。玄関口の一つである郷ノ浦港から遠くなることでのデメリットは。壱岐振興局との執務室の共同化が実現できたとしても警察・税務署などの行政機関や、商工会・観光連盟などと離れるマイナス面は。それらの考察もされていない。
賛否についての詳細な答申が出た時点で、建設への賛否と建設される場合の様々な要望について議会や住民に意見を募り、それらを集約して市としての方針を決定。その後に再び委員会に具体的な機能、面積、場所、試算などについて諮問を行う、という手順で行えば、検討委員会へ対しての一部からの不満なども起こらなかったはずだ。