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「壱岐ってサイコー!!」 感動溢れたウルトラマラソン

555人が壱岐路を疾走した第1回壱岐ウルトラマラソン。完走した選手は感動の涙を、リタイアした選手は悔し涙を流した。地区公民館や各小学校など沿道の市民らは応援に声を枯らし、大会の手伝いをした中学・高校生、給水所・立哨などを担当した関係者らは、14時間にわたって大会を支えた。

女王の貫録望月千幸さん
100㌔世界選手権2位(平成26年カタール・ドーハ)の貫録を見せつけたのは招待選手の望月千幸さん(30=長崎)。9月25日に中国・ゴビ国際100㌔レースに出場した直後だったため、今回はゲストランナーとして100㌔に出場。「疲労が残っていたので、世界選手権を目指す練習の一環として最初は50~60㌔で止めようかと思っていた」と言うが、いざ走り始めると競技者としての走りたい衝動を抑えられなくなった。
序盤は、女性トップながら全体の30番手前後でゆっくりとレースを進めていた。だが「50㌔の中間点あたりから、元気が出てきた」と急激に追い上げ、ゴールタイムは9時間02分14秒。自己ベストが7時間36分39秒だけにかなり余裕を持った走りとなったが、それでも女性では断トツ。男子を含めても3番目のタイムでゴールした。
「アップダウンの激しいコースで、まるで合宿に来ているような厳しさ。特に最後の登りはキツかった。でも応援の声で頑張れた。ゆっくりは見物できなかったけれど猿岩は素敵だったし、海辺の景色も最高。来年もぜひ出場したい」と再来訪を約束した。

4年4か月ぶり復活の松田さん
望月さんがオープン参加だったため、女子100㌔の優勝は10時間10分15秒の松田英子(ふさこ)さん(47=兵庫)に輝いた。
平成20年から24年まで隠岐の島ウルトラマラソンを5連覇した伝説の女性ランナー。だが腰、ひざを痛めて手術を行い、今回が4年4か月ぶりのウルトラマラソン挑戦だった。
「まだ手術後のリハビリ状態で、走りも全然だし、タイムもまったくダメ。それは最初から判っていたが、ウルトラマラソンを走ってきた人間にとって『第1回大会』というのはどうしても譲れない存在。その大会の優勝に名前を刻むことができ、満足している。隠岐の島もそうだが、コースから海が見えると気持ちが昂る」と壱岐での優勝を完全復活へ向けたきっかけにする。

今年10回目の百㌔驚異の松本さん
10時間19分28秒で100㌔女性2位になった松本ゆりさん(38=神奈川)は、全国のウルトラマラソンに挑戦し続けている。今年は宮古島2位、東京・柴又5位、隠岐の島7位などを走り、壱岐は早くも10走目。前週は佐渡1周200㌔に出場したばかりだった。
「まだ先週の疲れが残っていたので、タイムは満足できないが、応援がすごくて、とても楽しく走れた。ウルトラマラソンは楽しむのが一番。壱岐って、サイコー!!」とレース後も笑顔が絶えなかった。

感動の涙あふれる地元の松山さん
女子100㌔は39人出場で完走は19人。男子も含めて地元選手は26人が挑戦したが、完走は5人だけと100㌔の壁は厚かった。その中で地元女性で唯一完走したのが松山晃子さん(38=鯨伏小学校)。制限時間の14時間まで残り37分の13時間23分00秒で、目標だった完走を達成した。
「100㌔を通して沿道の声援は本当に嬉しかったが、やはり鯨伏の児童たちと保護者、教職員の皆さんの応援には感動した。いつやって来るのか判らない私のことを、日曜の朝早くからメッセージボードを持って、ずっと待っていてくれた。涙があふれてきた。初挑戦の100㌔は最初は全然自信がなかったが、この声援を受けたら意地でも最後まで走らなければという気持ちになった。関門ごとにずっと制限時間が気になっていたが、エイドステーションでもなるべく休まずに走り続けた。応援の声でリズムが出てきた」。まさに声を力にした。
完走は、単に記録ではなかった。「仕事でも、私生活でも、落ち込むことはよくある。でも、何でもあきらめずに続けていけば、道が開けてくることが判った。自分に少し自信がついた。レース翌日、子どもたち全員に完走のメダルをかけてあげたら『重いねえ』とその重さを感じてもらうことができた。子どもたちにも何かを示せたかもしれない」と教員として子どもたちに後姿を見せた完走でもあった。
▽男子100㌔2位・濱田翔平さん(32=諫早市)「フルマラソンは30回以上経験していたが、100㌔は初めて。走り込みが不足していたが、目指していた完走ができて良かった。12月の福岡国際マラソンへ向けて、良いステップになった。原の辻の復元建物や海辺の景観が素晴らしかった」。
▽男子100㌔3位・橋本貴全さん(50=愛知県)「ウルトラマラソンはもう何十回も走っているが、アップダウンの多さと暑さで、これまでで有数のキツさだった。何とかジェットフォイルの時間に間に合って良かった」。
▽男子50㌔1位・澤水亮吾さん(31=福岡県)「優勝は嬉しい。アップダウンは苦しかったが、景色がそれを緩和してくれた。38㌔ぐらいで先頭に立ち、粘れば優勝できると思って走った。新春マラソンも毎年出場していて良い記録が出ているので、壱岐は相性が良い。来年は100㌔に挑戦したい」。
▽女子50㌔1位・佐藤永子(ひさこ)さん(38=東京)「年代別ではない総合優勝は初めて。35㌔から坂がキツくて、途中で足がつってしまったが、その時に沿道から氷や水をたくさん差し入れてもらえた。涙が出るほど嬉しかった。また壱岐に来たいと思った」。
▽男子50㌔15位・堀内規生さん(35=福岡、リオパラ五輪銀メダル・道下千里さんの伴走者)「チーム道下の合宿を行った壱岐に、感謝の気持ちを伝えに来た。五輪後の練習不足で自分のタイムは悪かったが、リオの応援をしてくれた壱岐の人たちのことを、道下に伝えたい」。
▽男子50㌔ゲストランナー・eyeronさん=4時間12分43秒で6位相当「フルマラソンは3回走っているが、50㌔がこんなに大変だとは思わなかった。みんなの声援に感動と勇気、パワーをもらった」。

 

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