市議会定例会3月会議が5日に始まり、白川博一市長が施政方針の説明を行った。新年度は産業振興により積極的に取り組んでいく方針で、商工業振興では、市と市商工会が共同で2億円を限度に10%のプレミアム商品券を発行。観光振興では、新年度を「インバウンド元年」と位置づけ、外国人の壱岐までの渡航費用助成制度を創設。定住促進対策としては、現在4人が就任している地域おこし協力隊に新たに2業務2人の隊員を採用する、などの事業案を明らかにした。
プレミアム商品券は、「4月からの消費税率が5%から8%に上がることに伴い、買い控えによる個人消費の落ち込みが懸念される。市商工会と連携し、プレミアム商品券を発行することにより消費喚起を促し、市内商工業の活性化、島内経済の振興を図っていく」と白川市長はその目的を説明した。
市商工会は「詳細は、議会の承認を受けてから会議で決定し、5月下旬の商工会総代会に諮って正式決定する」としているが、現在考えられている内容としては、1000円券11枚つづりを1万円で販売。総額2億円分を用意。6月1日から利用開始し、半年間程度の有効期限とする予定。商工会員の島内約980店舗で、島民だけでなく観光客も利用できるようにする。
プレミアム分は市が新年度予算で1500万円を準備し、商工会が500万円を負担する。「10%のプレミアムは大きな魅力となるはずなので、1人当たりの購入限度額を設定する必要がありそうだ。本来なら消費増税の4月からスタートさせたかったが、6月1日から開始できれば増税の影響を多少は補えるのではないだろうか」と商工会は話している。
インバウンド対策も強化する。「これまで市内宿泊施設等の受入体制の整備や、中国の雑誌社の撮影誘致、韓国のパワーブロガー(特定の商品、サービスに強い興味と深い知識を持ち、一般消費者に対して影響力の大きなブログを提供している人)モニターツアーなどに取り組んできたが、新年度は外国人の渡航費用助成制度創設や、福岡市と連携した台湾での観光プロモーションの実施など、関係団体と連携しインバウンドの展開を進めていく」と説明した。
外国人誘客事業として1人当たり3千円の渡航費用補助を400人分用意するほか、外国人おもてなしセミナーや観光業従事者英会話講座を実施するなど310万円の予算を計上。華南圏(香港・広州市)旅行会社、メディア招致事業と現地旅行博への出展事業、福岡市などとの連携にも124万円を予算化している。
地域おこし協力隊については「今後さらに地域の振興を図るため、平成26年度において観光振興と産業振興を目的に、新たに2業務2人の隊員の採用を予定している」とし、観光振興・旅行商品開発・営業担当と、柚子を活かした特産品開発・販路拡大支援担当に各1人を3年間の任期で採用する。
同事業の当初予算額(嘱託職員としての給与を除く)は25年度の1021万円から2333万円へと倍増する。
また、市民病院については「平成25年度の収支見通しにおいては、常勤医師の増による診療体制の充実により黒字を達成する見込みとなっている」と県病院企業団加入へ向けて大きく前進したことを強調する一方、「平成26年度の病院事業予算については、地方公営企業法改正に伴う会計制度の見直しにより、新たに引当金等を計上することが義務付けられたので、純利益については収支に不足分が生じる」とさらなる病院経営の改善を図ることを示した。
医師確保については、4月から新たに内科医師1人の採用が決定。松村照男副院長の退職に伴い常勤外科医師が1人体制となるため「外科医師の確保を最大の課題として進めてきた。九州大学第2外科にお願いしたところ、4月から医師派遣の約束をいただいた。しばらくは非常勤体制となるが、早晩、常勤体制になるものと考えている。9年ぶりに同科からの医師派遣が再開される」と今後の見通しを語った。
その他、施政方針で触れられなかった新規事業として、宝くじスポーツフェア「ドリームベースボール」事業(村田兆治さんらを招いて11月1、2日に小中学生野球教室、指導者講習、ドリームゲームなどを開催)に約125万円、地域支え合いICTモデル事業(各家庭にあるテレビをインターネットに接続市地域情報の提供などを行う。三島地区150世帯で実施予定)に約860万円、観光地公衆トイレ改修事業(洋式化)に約1200万円、高規格救急車購入事業に約3500万円などが当初予算案に盛り込まれた。