壱岐国牛まつり(同保存会主催)が13日、牛神が合祀されている郷ノ浦町牛方触の津神社で開かれた。保存会会員の減少と高齢化に伴い、今年が最後となった。
壱岐島で寛文12年(1672年)に大流行した牛の疫病を抑えるため、疫病退散の祈祷が行われたことが由来。牛まつりは、昭和30年代に道路竣工を記念して牛方触青年会が初めて開き、一時途絶えるも同62年から復活。隣接する大浦触青年会と合わさり青年会、婦人会を中心に実行委員会を組織して、毎年4月の第2日曜日に開いてきた。
近年はコロナ禍等で中止となっていたが、以前は子どもたちも参加して、牛方触公民館から津神社がある津ノ山山頂まで百人を超える七福神の仮装行列が練り歩き、五穀豊穣を祈願。境内では出店やアトラクションが開かれ、春の名物行事として親しまれてきた。
今年は約百人が参拝。御神体のお下りでは、名物の牛の張りぼてが御神体の御輿の後を追い、御仮所までの約2百㍍を練り歩いた。
境内には過去の牛まつりの様子を収めた約40枚の写真や新聞記事が飾られ、関係者は当時を懐かしみ、最後には商品券が当たる福引抽選会もあった。
同神社の大祭は来年以降も続けられる。
保存会の梅野盛次会長(54)は「本来なら続けていくことが地域にとってもいいことだと思うが、どこかで決断しなければいけない時が来たと思う。正直寂しい思いがあるが、今の子どもたちが大きくなり、『そういえば牛まつりがあったな』と復活できればありがたいこと。最後の会長として申し訳ない気持ちでいっぱいです。長きにわたりありがとうございました」と話した。