社説

大会出場補助金の再検討を。

前号の社説では子どもたちのスポーツ振興のために施設面での整備を要望したが、課題は他にもある。

ある小学校の野球部は素晴らしい実績を残しているが、来年以降を考えると深刻な部員不足に直面している。野球は最低でも9人の部員が必要だけに、規模の大きな小学校であっても、少子化やスポーツの多様化に苦慮している状況にある。運動部に所属していないある保護者に話を聞くと「子どもはとても野球をやりたがっているが、家庭の事情で入部させてあげることができない。ユニフォーム、グローブ、スパイクなどの道具は何とか揃えても、年に何度も遠征をする費用までとても捻出できない」と金銭面の負担が大きいことをその第一の理由に挙げていた。

市では「小・中学生スポーツ大会等出場補助金」を設けて、県大会以上の大会に出場する団体・個人に対して、1人当たり8500円を上限とする助成を行っているが、今年度から制度の見直しが行われ「同一の団体に対する補助金は、九州大会及び全国大会への出場を除き、年間2回までとする」との規定が加えられた。

各小・中学校に各々設置されているクラブ活動であれば、この回数制限もある程度仕方がない面はあるが、例えば壱岐少年サッカークラブなどは学校外の単独チームで島内での対戦はなく、百人を超える部員を有し、年齢別カテゴリーの大会にも多く出場している。「1団体2回」では補助金を受けられない選手も多い。ふるさと応援寄付金の使途で「子ども夢プラン応援助成金」が30年度は100万円あり、島外の遠征・合宿に活用できるが、それもごく一部の選手に限られている。

補助金見直しの理由として市は「社会体育の過熱が懸念されていることなどを考慮した」と説明しているが、子どもたちのスポーツでの活躍が市に元気をもたらしていることは、白川市長も認めていること。少なくともふるさと応援寄付金は、より子どもたちのために使ってもらいたいと思う。

関連記事

  1. 専門のスポーツ課設置を
  2. 社説・カジノ法案めぐる論争に違和感
  3. 社説・議事録公開もない決算委
  4. 影響大きい民間認定子ども園撤退
  5. 大谷グラウンド改修に積極さを。
  6. 「ウエストリー」に見る地方創生。
  7. 社説 バスケット界が「改革」の手本
  8. トイレ洋式化は一気に進めるべき

おすすめ記事

  1. 「歩こーで!」壱岐市が2連覇 企業団体はイチヤマが優勝
  2. 4百人が収穫の秋楽しむ 王都米づくり収穫祭
  3. 高精細複製の南蛮屏風 一支国博物館で展示

歴史・自然

PAGE TOP