社説

ツマアカスズメバチの恐怖

syasetsu たかがハチと思うことなかれ。外来種のスズメバチ「ツマアカスズメバチ」に壱岐が襲われる危険性が高まってきている。環境省は3月から特定外来生物に指定し、対策の強化に乗り出す。
ツマアカスズメバチは中国が原産で、韓国に定着して問題になっている。日本では対馬に定着しているが、2012年に侵入が確認されてからわずか1年で、島全域に生息域を拡大したほど繁殖力が強い。
ニホンミツバチを好んで捕食するため、対馬で盛んな養蜂業が大きな打撃を受けて、ある養蜂業者では10以上の巣箱が全滅させられたとの報告がある。
壱岐でも養蜂が行われているためその被害が心配されるが、養蜂業者以外も十分な注意を払わなければならない。ミツバチを捕食するため、ミツバチによる受粉を行っているカボチャ、ナス、キュウリ、ピーマン、トマトなどの野菜、イチゴ、スイカ、メロンなどの果物に大きな影響が出る可能性が指摘されているからだ。
また長い目で見ると、壱岐の生態系そのものにも影響が出てくると考えられる。肉食の同ハチはトンボ、チョウ、ハエなどを捕食し、さらに天敵もいないため、虫の生態系の頂点に君臨し、さらに増殖を続けていく。植物だけでなく、鳥などにも影響が出てくる。
人間にとっても恐ろしい存在だ。通常のスズメバチ以上に攻撃性が強いため、人間から攻撃を仕掛けないでも襲ってくる可能性がある。毒性はスズメバチと同程度で、刺されると死に至る場合もある。刺された場合は早急な手当てが必要で、保健所からの適切な指示に加えて、医療体制の整備も求められる。
何とも厄介な存在だが、泳いで海を渡るイノシシとは違い、海上を飛来する報告はされていない。対馬からのフェリー・ジェットフォイルの船室、乗客の服や荷物に潜んでいないか徹底的にチェックし、消毒も行うことで、壱岐上陸の可能性をかなり低くできる。口蹄疫の上陸阻止と合わせて、船舶・運送機関には十分な注意を払ってもらいたい。

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