社説

社説・国境離島新法は市民提案が不可欠

来年度から施行される国境離島新法を本市がどのように活用するべきなのか、市民に意見を求めるチラシが各戸に配布された。配布を実施したのは同法制定を求めた期成会だが、その意見はすぐにまとめられて、市などに提出される。
「パブリックコメント」「政策提案」などと言葉にすると難しく感じ、一般市民が声を上げるのはためらいがちになり、「何を提案しても採用されるわけがない」と思う人もいるだろうが、そんなことはない。国境離島新法は新しい法律であり、どのような施策が国に採用されるのか、市や県ですら見当がつかない状況なのだ。市民生活に直結した情報、提案こそが生かされるかもしれない。
私も、Iターン経験者としていくつかの提案をしたい。人口減少対策としてUIターン者を増やす施策は、どの自治体も行っている。その中で壱岐市を選んでもらうためには、市としての本気度が問われる。「来たければどうぞ」という姿勢では誰も来てくれない。空き家の問題についてはこれまで何度も書いているが、それだけではない。例えば引っ越し費用を、転入する場合はすべて市が負担するという大胆な施策があってもいいはずだ。
私の場合は北海道からの転入だったが、家財道具すべてを送ろうと思ったら百万円規模の費用になるため、仕方がなく最低限の荷物だけを持ってきた。それでも数十万円の費用になったし、家の敷金・仲介料や購入した家電製品を加えると、やはり百万円を超える負担になった。
UIターンのために雇用の場が必要なのは確かだろうが、その創出は並大抵のことではできない。CCRCを見据えた場合、必ずしも正社員の仕事がなくても移住希望者はいる。年金とパート収入だけで老後を「実りの島・壱岐」で過ごしたいと思ってくれる人は必ずいるはずで、できるところからすぐに手をつけることが肝心だ。
「こんな案は白川市長には絶対考え付かない」という提案を、ぜひ市民から行ってもらいたい。

 

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