一支国博物館は開館10周年を記念して、第50回特別企画展「松永安左ェ門生誕の地・壱岐~耳庵展~」をきょう17日から開く。
松永翁が収集した3百点を越える美術品の中から、福岡市美術館所蔵の野々村仁清作の色絵吉野山図茶壷(重要文化財)はじめ、宗旦竹一重切花入、竊曲文簋(せっきょくもんき)など21点が壱岐で初めて展示される。また直筆の書や様々な画家が手掛けた肖像画など本市に残されている作品も併せて展示される。
松永翁は1875年(明治8年)に石田村印通寺に生まれ、幼名・亀之助と命名された。父の死により慶應義塾を退学した亀之助は、家業の造り酒屋を継ぎ三代目安左ェ門を襲名。その後は日本銀行に就職(24歳)、福博電気軌道株式会社を設立(34歳)、九州電気協会会長(40歳)、福岡県選出の衆院議員に当選(42歳)、日本電気協会会長(49歳)など要職を務め、「電力王」と呼ばれるようになった。
さらに国家管理だった電気事業の民営化を強行したことで「電力の鬼」と称されるようになった。
その一方、「耳庵(じあん)」と号し茶道にも親しみ、近代三大茶人に数えられた。
同特別企画展は9月13日まで。観覧料は一般3百円、高校生以下百円、未就学児無料で、年間パスポートの提示で無料になる。また、松永安左ェ門記念館の入場券を提示すると一般百円引き、高校生以下無料になり、特別企画展の観覧券の提示で同記念館が観覧無料になる。
企画展に関連して、福岡市美術館学芸員、後藤恒さんの特別講座「数奇者・松永安左ェ門のまなざし」(26日午後2時~)と、松永安左ェ門記念館管理人、定村隆久さんの壱岐学講座「時代が呼んでいる男『人』松永安左ェ門」(9月13日午後2時~)も予定されている。