新型コロナウイルスの影響で中止になった夏の甲子園大会地区予選の代替大会である県高等学校野球大会が11日に開幕。壱岐は12日の佐世保市総合第1試合で佐世保実と対戦し、エース髙田恭平(3年)が苦しみながらも9回を完封し2‐0で勝利。2回戦に進出した。2回戦は大村工と対戦する(日時など未定)。壱岐商は13日の佐世保市総合第1試合で鹿町工と対戦し、0‐8で7回コールド負けとなった。
髙田が春夏通算6度の甲子園出場を誇る強豪・佐世保実の打線を封じた。1~5回までいずれもスコアリングポジションにランナーを背負う苦しいマウンドだったが、4回無死一塁では佐世保実4番河野のセンター超え大飛球を、センター中上翔(3年)がバックハンドでキャッチするファインプレーを見せるなど、守備陣がしっかりと支えた。
高田は蒸し暑い気候で軽い熱中症の症状が見られ、またぬかるんだマウンドで投球を続けたため、6回の投球前には左足、7回には左腕にけいれんを起こした。7回終了時にはマウンドで倒れ込んでしまったが、「最後の夏」への強い思いからマウンドを守り続けた。
打線は初回から再三チャンスを作りながらあと1本が出ない展開が続いたが、7回に待望の先取点が入った。無死から9番加藤仁一郎(3年)が中前安打で出塁すると、2番山内恭介(3年)が左前安打、3番赤木利玖(2年)が中前安打で一死満塁のチャンス。ここで4番村部駿哉(3年)が三遊間をゴロで抜くタイムリーで、加藤仁をホームに迎え入れた。
続く8回も先頭の髙田が中前安打で出塁。8番山口凌矢(3年)、9番加藤仁が連続四球で無死満塁のチャンスに、1番中上翔(3年)への初球が暴投となり、2点目を挙げた。
味方の援護にすっかり元気を取り戻した髙田は、自慢の140㌔の速球と、スピードを殺したカープのコンビネーションで、9回を3者三振に打ち取り、4安打6四球10奪三振で猛打の佐世保実を完封した。
試合後、原口豊史監督は「髙田の足がつったのは想定外の出来事だったが、よく最後まで踏ん張ったし、バックも良いプレーで援護した。序盤で点が取れていればもっと楽な展開になったはずで、チャンスでもう1本が出なかったのが反省点。2回戦へ向けてあと1週間で調整していきたい」と話した。
2回戦で対戦する大村工は、初戦で諫早商・島原翔南を21‐0、5回コールドで退けた猛打が売り物で、再びエース髙田の真価が問われる一戦となる。
◎3年大久保粘投も壱岐商は初戦敗退
部員数11人、3年生はキャプテンでエースの大久保佑真1人だけという壱岐商だが、精一杯の試合を見せた。1回表に3番篠﨑柊太(2年)が中前安打、4番坂口飛悠馬(2年)が左前安打、5番豊坂悠平(1年)が四球で2死満塁のチャンスをつかんだが、6番坂口巧樹(2年)が三振。先制点は挙げられなかったが、相手エースの中村を攻め立てた。だがその後もチャンスを作りながら要所を抑えられ無得点が続いた。
大久保は左腕から丁寧な投球を心掛けたが、強風と降雨で自慢のコントロールに乱れが生じた。1、2回に適時打で2失点ずつ、4回に犠飛で1失点、5回も4安打を集中されて3失点と小刻みに得点を重ねられ、7回コールド負けとなった。
唯一の3年生である大久保主将に「1日でも長い夏を」という思いは叶わなかったが、11人全員が試合に出場し、実戦経験を積んだことは大きな財産。来夏へ向けて、価値ある一戦となった。