社説

「しがらみの壱岐」

syasetsu 私には好きになれない言葉がいくつかある。その1つが「しがらみ」だ。
我々は社会生活を送る上で、多くの括りや環境に身を置いて生活している。例えばそれは会社であり、家庭であり、趣味のサークル、近所付き合いや学校の先輩後輩などのように自然と上下関係が出来る付き合いもある。
確かにそういった中で、波風立てずに平穏に暮らしたいと思うのは全ての人の願いであり、希望でもある。しかし、それだけでは我々がより良い社会を形成したり、充実した生活を送ることはできない。
人が集まればその数だけ意識というものが働き、その数だけエゴが存在する。そういった中で、倫理に反することなく、法を侵すことなく規律を守り、どれだけ多くの人が理想と思える状況に導くかというのは大変難しい。一人一人が思っていることを言えれば、本来は正しき道に通じるはずだ。
ところが、お互いの利益や人間関係が働くと物事がおかしな方向に進み始める。そこに働いているのが「しがらみ」だ。
本来の自分の考えとは違った方に作用するように、ひき留め、まとわりつき、邪魔をする。なんだか怨念とか心霊とかそんな類に見えるが、心を揺り動かすという意味では同様の存在と言えるのかもしれない。
壱岐市も市制10周年という節目を迎え、新たな10年を創造するには、この「しがらみ」を打ち破らなければ、現状維持のままであることが推測できよう。
市庁舎建設にしかり、長崎を始め近隣県との連携しかり、壱岐を離れた人がもう一度帰って来たくなる壱岐にするためはどう動いたら良いのか、市民で再考する必要があるのではないだろうか。
十数年前持ち上がった大阪への航空路が「しがらみ」によって立ち消えてしまったことに、今もなお悔いが残っている。
(山内 武志)

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