社説

市民が理解できる議会に。

昨年12月18日から耐震改修工事により市役所郷ノ浦庁舎1階部分が使用できなくなり、執務室は他のフロアに一時移転されている。市民の出入りは地下部分からで、駐車場も1階部分など使用できないため満車が多い。企画振興部は昨年4月から壱岐振興局別館に一時移転し振興局の駐車場も混雑していて、市民だけでなく、職員も様々な面で不便を強いられている。

4庁舎の耐震改修工事には約16~20億円が使われる。「居ながら工事」による引っ越し、仕事の効率悪化などを考えると、目に見える費用以上の負担もある。新庁舎建設費は約24億円、旧庁舎の解体費などを合わせると約29億円の見積もりだった。その差額を大きいのか小さいのか、いまやるべきか将来に持ち越すべきかは、人によって判断が違った。住民投票の結果で庁舎建設賛成が4629票、反対が9703票とダブルスコアの明確な差で「建設しない」ことを市民が決めたのだから、いまさら問題を蒸し返しても意味はない。

だが、当初は建設を推進していた市、議会が「建設しない」デメリットについて、市民に十分理解できるような説明をしていたのかどうかは疑問が残る。これは庁舎問題に限ったことではない。議会を傍聴していていつも思うことは、議員の質問も、市執行部の説明も「聞いている市民」を意識していないのではないか、という点だ。議案はお役所特有の文章で、慣れているはずの記者ですら解読には困難を極める。市条例がすべて頭に入っていないと、何を変更したかもよく判らない。

一般質問でも議員の質問はたどたどしかったり、早口だったりするし、市執行部の回答もまた同様だ。用意した原稿を読むだけの回答というのは、早口になり、聞いていて頭に入りにくい。本紙ではなるべく噛み砕いた表現で掲載しているが、スペースの都合ですべての質疑を掲載できるわけではない。議会は市民に理解してもらうために開いていることを18年は再認識してもらいたい。

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