社説

胸熱くした田中さんの疾走。

12月23日に京都市で行われた第30回全国高校女子駅伝に長崎県代表として初出場した長崎商業高校のキャプテンとして、芦辺中学出身の田中亜可梨さん(3年)が4区(3㌔)を走った。出場58チーム中、16位でタスキを受け、区間35位の10分05秒をマーク。20位でアンカーにタスキをつないだ。チームは初出場で26位という立派な成績を残したが、田中さん自身も3千㍍の公式自己記録の10分09秒を更新する見事な走りだった。全国放送されたNHK総合の実況中継の中で、田中さんの笑顔が何度も映し出され、壱岐市民も胸を熱くしたことだと思う。

田中さんは、壱岐新聞が発刊した2012年当時はまだ田河小学校6年だった。その田中さんのナイター陸上、小学生駅伝、新春マラソンでの活躍を新聞紙面で何度も取り上げてきた。芦辺中学に進学してからも、県中学総体、ジュニアオリンピックなどさらに活躍の場を広げたシーンを紹介してきただけに、記者としてはなおさら感慨深い思いだ。飛び抜けた才能があったわけではないと思うが、黙々と練習を続ける努力の塊が、中学時から目標にしていた「都大路を走りたい」という夢を実現させた。これまで大会出場経験がなかった長崎商に進学して、キャプテンとしてそれを実現させてしまったのだから、素晴らしい快挙だった。

壱岐新聞はスポーツ記事、子どもたちの記事が多い。時におしかりを受けることもある。だが、田中さんは以前「新聞でいつも取り上げてもらえていたことが、とても刺激になった」と話していたように、子どもたちの夢の実現を少しでも後押しすることができていれば、これ以上の喜びはない。スポーツ、文化、学術を問わず、子どもたちの活躍は壱岐全体を元気にしてくれる。島を巣立った子どもたちも、市民の応援する声が届けばいつまでも故郷のことを忘れないでいてくれるはず。その手助けこそが新聞の使命だと信じ、今年も紙面をお届けしていく。

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