玄海原子力発電所3号機が間もなく再稼働する。再稼働しても、周辺自治体として反対を表明し続けていくことは大切だが、現実問題としていまから止めることは極めて難しい。再稼働に備えて、重大事故時の避難経路の確保や道路、港の整備を国に要望し続けることも必要だが、それとは別にぜひ九州電力に申し入れてもらいたいことがある。玄海原発の名称変更だ。
福島第一原発事故では、実際の放射能被害だけでなく、多くの風評被害を生んだ。WTO協定違反の判決が出た韓国による福島、茨城など8県産水産物の輸入禁止措置はあまりにも不当な差別だが、震災から7年が経過したというのに福島産農水産物の海外輸出は、ようやく2月末にタイへの輸出が始まったばかりだ。国内の流通でさえ、徐々に増えているものの、いまだに量販店向けの出荷はほとんど行われていないのが現実だ。
確かに事故直後は、福島第一原発近くや一部のホットスポットで放射能汚染は深刻だったが、福島県全体が汚染されたわけではない。会津若松市は原発から100㌔近く離れているし、福島市の中心部も65㌔程度の距離があった。だが「福島」という名前だけで、汚染が疑われてしまう風評被害こそが、1次産業に深刻なダメージを与え続けている。「福島=原発の町」というイメージすら出来上がってしまった。
玄海原発の「玄海」は玄海町に立地するための名称だが、「玄海」は壱岐島を囲む「玄界灘」の略称でもある。魚介類の宝庫である玄界灘に原発のイメージが付いてしまうのは、事故があろうとなかろうと好ましいものではないし、本市には壱岐焼酎大手の「玄海酒造」もある。同様に、甑島を望む美しく静かな町の薩摩川内市も「川内原発」がイメージを悪化させてしまっている。玄海原発は「九州電力北西原発」、川内原発は「九州電力南原発」などと改称してくれれば、少なくとも外国人観光客らに対して、悪いイメージの緩和につながるはずだ。