全国各地で「スマートシティ」建設が進んでいる。スマートシティ(タウン)とは、ITや環境技術などの先端技術を駆使して街全体の電力の有効利用を図ることで、省資源化を徹底した環境配慮型都市のこと。
11月27日にはパソナニックグループが同社工場跡地(神奈川県藤沢市)に建設した「FujisawaSST(サスティナブル・スマートタウン」がオープンした。約19㌶に千世帯の「創・蓄・省」エネルギー住宅や商業施設、学校、病院などを揃えた「近未来型都市」で、計画人口は3千人。総事業費は600億円となっている。
セキュリティ、交通網など8つの暮らしのサービスが特徴だが、目玉となるのはエネルギー面の家庭用蓄電池とスマートグリッド(次世代送電網)だろう。蓄電池は個別で購入するとまだ数百万円もするが、タウン用の大量注文によって低価格に抑えられた。各戸の太陽光発電装置で創られた電力を蓄電池に蓄えることで、天候に左右されず24時間、家電製品や電気自動車への給電に利用する。
スマートグリッドは、ある家庭で余剰な電力を、不足している家庭に送電するなどして需給バランスを最適に保つシステムで、電気代、ガソリン代が限りなく0に近い暮らしが実現できる。
九州電力は今年7月、壱岐など一部離島で新規接続契約申し込みを1年間程度保留すると発表した。大型蓄電池増設や、海底ケーブル敷設が実施されなければ、今後の再生エネルギー新規買い取り契約を結ぶことは難しそうだ。
だが家庭用蓄電池やスマートグリッドが導入されれば売電をしなくても、壱岐の暮らし易さは格段に良くなる。スマートシティ構想は、離島でこそより威力を発揮するものだと考えられる。
新市庁舎周辺や中学校廃校跡地などを活用した離島スマートシティは、移住者の増加が期待でき、人口減少対策にも役立つはず。地方創生アイデアの一つとして検討する価値が十分にあるのではないだろうか。